相手に釘を刺し、パワハラ・セクハラを抑制する大人の語彙力

2018年05月31日 11:30

写真は書籍画像

最近、語彙力に関する書籍を見かける。「大人にふさわしい語彙力を付けたい」という強いニーズがあるようだ。たとえば、取引先に迷惑をかけてしまい、相手が憤慨しているなら、普段よりは丁寧な言葉を使って謝罪する必要がある。このときに大切なのが語彙力。状況を俯瞰しながら言葉を使い分けるスキルが必要になる。

今回は、『大人の語彙力 使い分け辞典』(永岡書店)を紹介したい。著者は、国語学者の吉田裕子さん。言葉遣いや語彙を取り上げた、『正しい日本語の使い方』(枻出版社)と『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は、どちらも10万部超のベストセラーになっている。メディアへの出演実績も豊富である。

無茶な相手に釘を刺したい

実際の仕事や人付き合いの場面では、正しいメッセージを伝えなければいけない。いま、無理な仕事を頼んでくる相手がいる。相手に釘を刺すにはどうすればいいか。付き合いもあるので、今回だけは引き受けるが、それを当たり前のように思って欲しくない。

難易度C
相手:同僚や付き合いの長い仕事相手、知人に
回答:今回だけですからね。

今回は引き受ける、その「は」の部分を強調する言い方です。つけ込んできそうな人には、さらに「今回だけだとお約束いただけますね?」と詰め寄る。

難易度B
相手:上司や取引先に
回答:次回以降はお引き受けしかねます。

「~しかねる」(~できない、のあらたまった言い方)を使って、毅然とした意志を示す。「今回、対応いたしますのは、あくまで特例であることをご理解ください」と念を押しておくと、さらにベターな表現になる。

難易度C
相手:顧客や年上の知人に
回答:すみませんが、このようなことは今回限りでお願いしたく存じます。

「こんな無茶は」「ひどいスケジュールは」などと具体的に口にするのが好ましくない場合、「このようなこと」と指示語で曖昧にする手があります。「今回限り」つまり「次回はない」ということを明確に伝える。

パワハラやセクハラを受けたとき

権カや腕カを武器にして、弱い立場の人間に不快な思いをさせる行為を許してはいけない。しかし、職場のコミュニケーションや人間関係に配慮しなくてはいけない場合もある。まずは、定番の切り返しを覚えておきたい。

難易度A
相手:行為の卑劣さ「ひどい」
回答:このような振舞いは、Aさんらしくありませんよ。

「Aさんは本来そのような人ではないはずです。もっと素晴らしい人のはずです」と、正気に戻るよう促す。幻滅や失望の色をあらわにして言うとさらに効果的。

難易度B
相手:行為の卑劣さ「よりひどい」
回答:度が過ぎています。

ハラスメント行為をする側は「これぐらい普通」「こんなのお酒の席の冗談のうち」と捉えている。その認識を正さなくてはいけない。他に「限度を越えています」「冗談が過ぎますよ」なども効果的である。

難易度C
相手:行為の卑劣さ「かなりひどい」
回答:しかるべき対応を考えざるを得ません。

「しかるべき」は「然るべき」。「それ相応の、ふさわしい」という意味になる。会社の担当窓口に相談したり、弁護士に相談といった対応に出ることを示唆する。これで響かない人はもう仕方がない。

語彙力の基本を抑えておきたい

著者の、吉田さんは、語彙力について次のように解説する。「たくさん言葉を知っていても、使う場面を間違えると恥ずかしい思いをします。例えば、お礼の言葉も上司やお得意様、同僚・後輩など相手との親密度や内容の重要度によって異なります」。

本書では、お礼や謝罪、断りなど、仕事やプライベートでの様々な場面ごとに使う語彙・言葉の適切な「使い分け方」を3段階に分けてわかりやすく紹介されている。場面が設定されているので言葉が持つ意味が理解しやすい。これをマスターすれば、気の利いた言い回しもできるようになるだろう。

言葉はコミュニケーションの手段として、なくてはならないもの。あなたの評価を高めるためにも覚えておきたい。

尾藤克之
コラムニスト

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