石破茂氏は自民党の小早川秀秋になるな

2018年06月02日 19:30

石破氏と共演した時の八幡氏(フジテレビ「バイキング」より:編集部)

石破茂氏の「合区解消など」を読んで、そこに書かれている内容がもっともなだけに、現実の政治活動との乖離になぜ気がついてもらえないのか隔靴掻痒の気分である。

米朝首脳会談について、石破氏は、以下のように書いている。

『先週からまた一転、米朝首脳会談がシンガポールで開催される可能性が出てきました。これがトランプ流のゲームであり、ディールなのでしょうが、何度も指摘している通り、「朝鮮半島の非核化」と「北朝鮮の非核化」の間にある乖離も、その「接点」が日本の安全保障に与える影響も、極めて大きいものです。「北朝鮮の体制を保証する」ことは、北朝鮮国民の置かれている悲惨な状況を是認することにもなりかねない。また、日本国の国家主権の侵害であるとともに重大な人権侵害である拉致問題との整合が取れないことになる。我が国にとっての望ましい解は、他のどの国よりも難しいことを痛感しています』

まことにもっともである。しかし、それなら、こんな国の運命を決める正念場だから、安倍首相を自分の野望は横に置いて支えるべきところだろう。先にも書いたが、米朝会談の成り行き、来年に大阪で開かれるG20の議長としての重責、気むずかしいトランプ大統領との関係の難しさを考え、また、昨年の総選挙から時間が経過していないことから、考えれば、いま、政権交代のときではあるまい。

もし、交代するとしたら、安倍外交との連続性の確保に支障がないことを、方針と自身の能力の両方から支障がないことを示すことによって活路を開くべきだ。

そうした問題意識を示さずに、野党や朝日新聞と一緒になって政権の足を引っ張って日本外交の足かせになってはいけないだろう。

小早川秀秋が批判されたのは、裏切りそのものもさることながら、タイミングや手段において、非常識だったからだ。だから、東軍の諸将からも馬鹿にされたし、家康からもさほど大きい恩賞はもらえず、やがて、世間の批判に耐えきれずノイローゼのあげく死んだと言われるのだ。

安倍批判にも作法があるはずだ。

参議院選挙での鳥取と島根との合区の不条理を嘆いておられるが、30年以上、鳥取選出の代議士をし、父親は知事や地元選出国会議員だったのに、親子で故郷の衰退になすすべもなかったではないか。

自己の中央政界の栄達だけでなく、地元の発展に尽くしてこそ政治家だ。

それに、地方創生相として従来型の延長の政策しか打ち出せなかったことの不明を恥じることが先決だろう。

私は安倍外交は支持しているが、何から何まで安倍政治を評価しているわけでない。しかし、もっとも、評価できないと思っているのは、東京一極集中の排除や地方振興への無策である。

しかし、それを内閣の目玉に位置づけたときの担当相は石破茂氏である。ところが、石破氏の打ちだした政策は、いずれも、従来路線の延長線上での強化であり、隙間狙いの小さなパイを地方同士で競わせるようなものだった。

まだしも評価できるのは、構造改革特区で、加計学園の件など、ある程度の地域配慮が感じられて結構なことだと思うが、それは自分で泥塗っているのだから世話ない。

東京の大学の定員増を凍結するというのは素晴らしいが、それは、石破氏がいなくなってからだ。

これまでの政治人生の反省の上に立って、素晴らしく革新的な地方振興策を打ち出して、人口増で合区解消を図るくらいの知恵を出したらどうかと思う。その方が、地方選挙の応援に飛び回るよりよほど地方の支持も上がると思う。

厳しいことを書いているが、それも、高い支持率を安定してとれる政治家だからこそ惜しいと思うからだ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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