政治家は本当に忙しいのか ― 全日程を分類

鈴木 邦和

こんにちは、都議会議員の鈴木邦和です。昨年に私が当選してから11ヶ月が経ちました。これまで政治家としての自分の時間の使い方に日々疑問を感じてきたので、この機会に過去の日程を分類して見直すことにしました。

まず11ヶ月間のスケジュールを全てExcelで集計すると、総計は3139時間となりました。これは私の一例に過ぎませんが、毎月285時間の勤務が4年間続くと考えると、やはり実態はそこそこ忙しい職業かも知れません。ただ今回、政治家がどのくらい働くべきかというのは一旦横に置き、問題はその中身です。試しに分類してみました。

議員の第一の仕事は、議会における質問ですが、私が議会に実際に出席したのは172時間でした。加えて、議会で質問する文章の推敲や、質問作成に際した直接調査にも時間が掛かっています。これに東京都や地元自治体の公的行事への出席や、審議会の委員の仕事など加わって、議員の公務は412時間=全体の13.1%になります。

ただし、議会の質問を作る上では、さらに多くの調査・研究の時間が必要です。なぜなら調査・研究をしても、その多くは形にならないからです。都庁職員との意見交換、勉強会、有識者ヒアリング、文献調査、視察など、政策調査に分類される業務は全体で748時間=23.8%でした。

これはあくまでも私の実感ですが、一般的に議員は議会と政策調査に30-40%の時間を掛けています。しかし、掛けた時間に対してどんな成果=政策を実現できたのかという点が重要です。ただ漫然と勉強会や視察をしているケースも多いため、自身で日々の成果を厳しく問うていく必要はあります。

さて、議員の仕事として賛否が分かれる地元活動は、私の場合426時間でした。この内訳は、新年会・総会、地元行事、報告会、陳情対応、駅立ちなどです。私個人が掛けている時間は意外に少ないですが、ここは秘書の方に相当サポートして頂いているので、事務所全体で見ると1031時間とかなりのリソースが割かれています。

地方議員には公設秘書の制度がなく、私設の秘書を雇っているケースは稀です。区市町村議員に秘書はほぼ存在せず、都道府県議会議員でも秘書がいて1名で、多くはフルタイムではありません。そうすると、この1000時間以上の地元活動を1人でこなす議員も多い訳で、本来の仕事が疎かになるという状況に陥ってしまっています。

他にもメール・電話などが意外に多くの時間を占めていますが、今回分類してみて改めて感じたのは、やはり議員の仕事も何が成果で、何が手段なのか、しっかり整理する必要があるという事です。その上で、もっと効果的な手段はあるか、アウトソースできる業務はあるか、議員の働き方改革をまずは個人で進めたいと考えています。

私の場合、いま最も時間当たりの効果の高い政治活動は、おそらく都政レポートの発行です。私個人が費やした時間は、この11ヶ月で合計30時間にすぎません。しかし、編集者・デザイナー・配布業者の方々のおかげで、市内57,000世帯に合計6回配布することが出来ました。これも当初構えていた事務所を解約して、その経費を代わりに充てることで実現したものです。こういうパフォーマンスの高い活動にどれだけ転換できるかが重要だと考えています。

本記事は長文になってしまったので、詳細な分析と改善策は次回の記事に続きますね。


編集部より:この記事は東京都議会議員、鈴木邦和氏(武蔵野市選出、都民ファーストの会)のブログ2018年6月2日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は鈴木氏のブログをご覧ください。