日立のドローンのダンピングは防衛省の益になるか?

2018年06月09日 11:30

※画像はイメージです(写真AC:編集部)

今週発売の週刊文春で日立が防衛省にダンピングして販売したのではないか?、という記事が載っております。

記事によると日立が防衛省に対してドローン5機を9018円で入札したということです。
1機あたり1800円ということになりますが、どんな小さなドローンでもこんな値段では出せません。
日立は損をしてもこのドローンを売り込みたい理由があったということです。

世の中にフリーランチはありません。防衛省はどこかでこのダンピングで損した金額を回収されます。

いまはどうか知りませんが、昔は広告業界の営業は飲ませる、打たせる、抱かせる、でした打たせるにはゴルフも入っておりますが、広告担当者を接待するわけです。タダでおねいちゃんのいる銀座のクラブにいったり、ゴルフにいったりできますが、広告代理店はボランティアでも趣味でもないので、広告料金を請求するときにきっちり載せてきます。
それと同じでしょう。

このドローンは別なメーカーが開発したもので、その会社に資金力と入札資格がないので、日立の口座を使うということです。であれば、日立のマージンが乗っかって然るべきです。それどころか、完全赤字の受注です。
違うと反論するのであれば、ぼくが100機ぐらい発注しましょうか?普通100機も発注すれば値段はもっとさがりますよね?

まあ、昔よくあった役所のコンピュータシステムなんぞの1円入札なんぞと同じ構図でしょう。
別にNECやら富士通やら東芝やらが1円で入札しても損をするわけがありません。その後のメンテ料金をぼったくることで濡れ手に粟で大もうけしておりました。未だに不透明であり、防衛省関連のこの手の予算については財務省も疑問をもっております。

防衛省のシステム関連経費の一社入札について

○ システム関連経費について、一社入札が大半を占めており、価格競争が十分に働いていない。
(28年度に納期を迎えた各種システム経費の約97%は一社応札)
○ 中でも、システム関連の技術支援費については、平成25年度以降、特定企業による一社入札が続いている状況であり、入札による価格競争が働いていない。システム関連の技術支援費(統合幕僚監部)

出典:財務省「防衛予算概要」

因みに日立はUAV、無人機の開発能力は殆どないです。技本が開発中ということになっている、UGVはサイズの小型化もできず、iロボトットのパックボット何度比べると、不細工でかさばり実用に耐えるものではありませんでした。事実未だに実用化されていません。

固定翼のUAV、フジインバックのB型も日立がプライムで陸自に提案しましたが、通信システムが低性能で後に日立の子会社にプライムが移されました。結局偵察用としては採用されず、電波の中継機として飲み採用されましたが、これは情実ではないでしょうか。

手投げ式の固定翼UAV、JUXS-Sは陸自で採用され軍オタさん達が絶賛しおりましたが、これは元来川田工業が開発したもので、それを日立が引き継いだ形となっています。これまた飛ばすと半分は帰ってこない代物で、税金の費用対効果として如何なものかという機体です。

かように、UAV,UGVなど無人機に弱い日立が、ダンピングまでして売り込もうというのに何か裏があると考えるのが大人というものでしょう。

防衛省はダンピング値段の装備や備品を買うべきでありません。その時はその値段でも後に値上げをされても、別な機種に切りかえることはできません。

ところが、自衛隊は値段が安いモノが大好きです。性能や品質が劣っても、安いモノを調達する傾向があります。その結果ミッションが不可能でもです。空自の、基地警備用の暗視装置はアメリカ製ですが非常に安い。それは、光電管がロシア製だからです。このため性能が悪い上に寿命が短い。部品の入手も不安定です。
こんなことはマトモに仕様書を書けば防げることですが、仕様書を書く知識も能力もない

だから安いだけのものが入り、後で現場が苦労します。

防衛省、自衛隊は「安物買いの銭失い」という言葉を覚えておいた方が宜しい。

また、必要なコストをケチることもあります。試験用のサンプルを何ヶ月も借りっぱなしで、散々使い倒して、結局買わない。始めから買うつもりがなく、タダで勉強しようという腹です。

こういうことをしていると、内外のメーカー、商社から信用されなくなります。事実防衛省とは商売しないというところをぼくは何社も知っています。自ら望んで世間を狭くしているわけす。自分たちの信用はいくらインチキやっても毀損しないと思っている。本当にお前ら馬鹿だよなあ、と言いたくなります。

そもそもUAVの実用化が遅れたのは、諸外国の動向に非常に鈍感で、またUAV導入が組織内政治で微妙なところがあったからです。それ用の部隊ができたら、どこかの部隊や予算が削られるからです。
まあ、戦争は相手があることだと思っていないし、演習という戦争ごっこだけが仕事だと思っているわけです。

いずれにしてもこのような、極端に安い調達は止めるべきです。

日本のODAを受けているヨルダンの方が、まともな攻撃ヘリの近代化計画を持っているようです。
陸幕装備部、防衛装備庁の当事者意識&能力が疑われて然るべきです。
言うまでもありませんが、62機調達するはずのAH-64Dは13機で打ち止めで、飛べるのはせいぜい5~6機で飛行隊の体を成していません。 AH-S は旧式化に任せて、用途廃止が進むばかり。

SES and Northrop upgrading RJAF AH-1F/S Cobra attack helicopters

■本日の市ヶ谷の噂■
自民党国防族が、ペイロード3倍近い米軍のC-17輸送機と同じ値段で、舗装滑走路でしか運用ができないお嬢様と諸外国で嘲笑され、運用コストはステルス戦闘機F-35より高いクズのようなC-2輸送機を大量に買えと、財務省に圧力をかけているとの噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年6月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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