結愛ちゃんの悲劇を繰り返さないため、やるべき5つのこと

玉木 雄一郎

Facebookより:編集部

目黒区で起きた結愛ちゃんの虐待死事件には、胸がしめつけられます。

どうすれば、小さな命を救うことができたのか、

政治の責任として、真剣に考えていかなくてはなりません。

昨日は、当事務所として、本件を香川県側で担当した香川県西部子ども相談センターの久利文代所長から話を聞かせていただきました。

こうしたご意見も踏まえつつ、早急に対策に取り組んでいきたいと思います。関係する議員連盟でも取り組みが進んでいますので、超党派で取り組んでいきたいと思います。

経緯の概要

〇2016年9月 児童相談所(香川県西部子ども相談センター)が、家庭訪問を開始

〇2017年2月、5月 香川県警が傷害容疑で船戸雄大(父)容疑者を書類送検⇒不起訴

〇2018年1月初旬 香川県善通寺市から目黒区に転居=指導措置解除

*雄大容疑者は東京の大学に通っていたことから、知人の多い東京に引っ越ししたが、東京では仕事が見つからず孤立

〇同年2月9日 品川児相が家庭訪問するも、結愛ちゃんとは接触できず

〇同年3月2日 船戸結愛ちゃん死亡(平均体重20㎏を下回る12.2㎏)

1月時点では体重16.6kgで、虐待の外傷もほとんどなかったため、「親権停止」に及ぶほどの状況ではなかったとのこと

〇同年6月6日 両親を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕

児童相談所の現状

・香川県児相が二度「一時保護」するも在宅復帰

*国の方針として「家族再統合」が原則となっており、一時保護児童の95%が在宅復帰しているのが現状。

・「親権停止」の申し立てに至るまでのハードルが高い

*家庭裁判所を通す方法もあるが稀である。

・香川県内では、一時保護を含め、養護施設は定員オーバー

*乳児専門ではない施設で乳児を預かってもらっているのが実態で、ファミリーホームも1ヵ所しかない。

・また、処遇困難児が増えているため、里親委託しようにも、数日預かって辞退されることが多い

・児童相談所の職員は慢性的な人員不足で、1人が100件以上を担当している

*香川県西部子ども相談センターでは昨年3名増員だが、全員新卒で教育が必要なのが実情。

*児相職員が疲弊しており、昨年は、精神疾患で1名が辞職した。

*事件以後、毎日50件程のクレーム電話があり、長い方で2時間超にも及び、その対応に追われて、ケースワークができない。

*学習指導のため教員OB1名/毎日(3年前から常勤)、法律相談のため弁護士1名/週(非常勤)がつくようにはなった。

以上のような経緯や現状を踏まえ、以下の5点について、早急に取り組みたいと考えます。

必要な対応策

1.児童相談所の人的拡充と機能強化

・とにかく、児童相談所職員の人員増員が急務

・職員のスキルの向上と待遇改善も必要

2.親権の制限をより容易に

・親権制限(停止)手続きをもっと容易にしなければなりません。

(参考)日本では、2012年~2014年の2年間における親権停止は67件(うち喪失28件)のみであるのに対し、ドイツでは毎年12,000件、イギリスでは毎年50,000件が、親権停止となっています。

3.児童相談所と警察の全件情報共有

・高知県や愛知県などで実現している児童相談所と警察との「全件情報共有」を全国で実現するよう、国から明確な指針を示すこと。

4.里親や特別養子縁組の支援

・里親や養子縁組制度の充実をはかり、国をあげて認知度、理解度を広めること。

5.児童養護施設やファミリーホームなど、一時保護施設の拡充

この5項目の中には、すぐにできることと、できないことが混じっていますが、特に、②の親権制限の問題は簡単ではありません。

しかし、狭義の「家族再統合」を優先し、子どもをできるだけ親元に戻そうとする国の基本姿勢を改めなくては、抜本的な解決にはならないと思います。

あくまで子どもにとって何がベストか。この観点から、一定の要件を満たす場合は親権を制限することも必要だと考えます。この問題には、特に、与党の皆さんの理解が何より必要です。理解していただける方を増やし、超党派で協力して取り組んでいきます。


編集部より:この記事は、国民民主党共同代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2018年6月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。