プーチン氏「自国チーム大勝」に笑み

長谷川 良

第21回サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会が14日、モスクワのルジニキ競技場で約8万人の観衆を集めて開幕した。国際サッカー連盟(FIFA)W杯は五輪大会と同じで4年に1度開催される。32カ国からチームが参加し、8グループに分かれ、7月15日の決勝戦まで64試合の熱戦を繰り広げる。

▲W杯開会式の歓迎の挨拶をするロシアのプーチン大統領 2018年6月14日、モスクワ、オーストリア国営放送中継から

▲W杯開会式の歓迎の挨拶をするロシアのプーチン大統領 2018年6月14日、モスクワ、オーストリア国営放送中継から

▲世界最大のスポーツイベントを楽しむロシア・ファンたち 2018年6月14日、モスクワ、オーストリア国営放送中継から

▲世界最大のスポーツイベントを楽しむロシア・ファンたち 2018年6月14日、モスクワ、オーストリア国営放送中継から

開幕式のエンターテーメント後、ホスト国ロシアのプーチン大統領とインファンティーノFIFA会長の開幕の挨拶が終わると、第1試合はAグループでホスト国ロシア対サウジアラビアの試合が行われた。試合は前半12分、ロシアのカジンスキーが大会第1号のゴールを頭で決めると、ロシア側は勢いをつけ、最終的には5-0でホスト国が大勝し、幸先のいいスターを切った。

ロシアで世界最大のスポーツ・イベントのW杯が開催されるのは今回が初めて。プーチン大統領も挨拶で述べていたが、サッカーはロシアのナショナルスポーツではない。だが、欧米の経済制裁下で生きるロシア国民が日頃の鬱憤を払い、世界から集まったサッカー・ファンと共に、喜んでいる姿が印象的だ。

ところで、世界最大のスポーツ人口を誇るサッカーの頂上を決めるW杯となれば、参加国の首脳たちもここぞといわんばかりに会場に姿をみせて自国チームを応援するが、開幕式では欧米から首脳たちの姿は見られず、プーチン大統領とサウジのムハンマド皇太子がオープニング試合を観戦しているところがテレビに映っていただけで、少々寂しかった。 ちなみに、試合が0-5で大敗すると、ムハンマド皇太子はプーチン大統領に挨拶後、直ぐに退席していった。ふがいない自国選手によほど不満があったのかもしれない。

韓国・平昌冬季五輪大会(今年2月9~25日)では、「前回のソチ冬季五輪で組織的ドーピングが行われた」という理由でロシア選手はロシアの国旗ではなく、「五輪旗」のもと個人資格で参加する以外になかった。ウクライナのクリミア半島の併合問題で険悪化してきたロシアと欧米諸国との関係は緊迫状況にある。そこに今年3月、英国亡命中の元ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)スクリパリ大佐と娘の暗殺未遂事件が発生し、ロシアの関与があったとして多くの欧州諸国はロシア人外交官を国外追放するなど、欧米とロシアとの関係は目下、最悪だ。いずれにしても、ロシア大会はいやが上にもそのような政治情勢の影響から逃れることができないわけだ。

開幕式のイベントで出演した英国のポップ歌手、ロビー・ウィリアムズが歌唱中、カメラに向かって中指を立て、何か抗議しているようなジェスチャーを見せたことが大きな話題となっている。SNSでは、ロシア大会のイベントに参加して歌うことに、「プーチンに金で買われた」とか、「英国の威信を傷つけた」といった批判の声から、「あれはロシアへの批判だ」という意見までさまざまな声が流れている。世界のポップスターはどこにいっても話題に事欠かないようだ。

また、サッカー試合にはフーリガンがつきものだが、モスクワ大会でもフーリガン対策のため治安部隊が動員されていると聞く。スイス・インフォによると、22日のグループステージ・スイス対セルビア戦で、暴力事件が起きるリスクが高いと警告している。

ロシア大会では時差の関係で眠れない日本のファンも出てくるだろうが、欧州に住む当方にとっては時差の影響はほとんどなく、1日3試合のグループ戦を観戦できることに感謝している。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2018年6月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。