研修講師が解説!「完璧さ」ではなく「もれなく」を目指す

2018年06月17日 06:00

画像は書籍書影(筆者撮影)

現代のビジネスパーソンはプレゼンの機会が増えている。もはや業態や職種を問わずに、プレゼンの評価は昇進昇格などにも大きな影響を及ぼしつつある。まれに、自分の技量に自信を持っている人を見かけるが、それが強すぎても失敗する。プレゼンの正しい技術はあらゆるビジネスパーソンが一通り身につけていくことが望ましい。

今回は、『人前で話すのが苦手な人でもササるプレゼン絶対失敗しない!5ステップ』(ごきげんビジネス出版)を紹介したい。著者は研修講師や風土改善のコンサルティングを専門とする長谷川孝幸さん。

プレゼンは「もれなく伝える」ことが大切

プレゼンに限らず、何かをすることに苦手意識がある人がいる。たいていの場合「完璧にやらなければ」「上手にできなければ」と思い過ぎる傾向がある。

「確かにちゃんとやるのは大事なことで、ビジネスの場面は仕事が充分な出来でなければ仕事そのものが成立しないだけでなく、自身の評価が下がってしまいます。物事はできれば疎漏なく、問題なく仕上げたいものです。しかし完璧を求め過ぎてかえってデメリットが大きくなってしまうこともあります。」(長谷川さん)

「プレゼンとは『完璧にやろうとする』のではなく『もれなく伝える』というように考えてやったほうがいいと考えます。『その日に絶対にこれだけはわかってもらいたいことに集中する』『その場にいる人に一定の理解をしてもらうことに注力する』『必ず伝えておきたい重点要素をピックアップしておく』の3点です。」(同)

また、また技量(テクニック)についても完璧である必要はない。もれなく、次の3点を抑えておきたい。「得意(上手)」でなくてよいから、まずは苦にしない」「考え過ぎずに言ってしまう、やってしまう」「トークが上手だからササるとは限らない」。一般的なテクニカル要素がそれほど意味をもたないことが理解できる。

「いわゆる『話上手な人』というのは、滑らかによどみなく、言葉も巧みで中味もおもしろいかもしれません。しかし重要な提案をされる側にしてみると、あまり話が上手過ぎるのも警戒感を覚えるものです。」(長谷川さん)

「たとえば家を建てる・直す、車を買う、保険に入る、宝飾品・着物・骨董品などを買う、投機商品を買う、冠婚葬祭を依頼する、士業の先生に相談をするといった当事者にご自分がなったと思ってください。立て板に水を流すがごとくスラスラしゃべる人をすんなり信用できるでしょうか。多分怪しさを感じるはずです。」(同)

エンターテインメント性は不要である

信用できる要素はなんだろうか?長谷川さんは「誠実」な雰囲気を漂わせることだと解説する。「誠実」な雰囲気を感じさせるにはなにが必要だろうか?

「以前、集金に来ていた生命保険会社の人は地味で言葉も少なくて、どちらかというとオドオドした感じの女性でした。それでもいつも決まった時間に必ず来て、最低限の案内は必ずして帰る人でした。私はまだ子供でしたが、『このおばさんは嘘がない人だな』と感じて今でも折々に思い出します。」(長谷川さん)

「研修講師もそうです。話は下手よりはうまいほうが聴くのに苦にはなりませんが、伝わるかどうかは別問題です。まして一般の人は完璧主義、技巧主義は避けたほうがよいでしょう。重ねて申し上げますが、研修はエンターテインメントではありません。プレゼンも同じように考えなくてはいけません。」(同)

上手にやろうではなく、伝えるべきことを一生懸命に伝える。あらゆる要素を完璧に盛り込むことも不要。まずはプレゼンを成立させること、上手かどうかも二の次になる。しかし、相手に与える印象は大きいので、(1)大きな声、(2)きびきび行動、(3)挨拶、(4)明るい笑顔、があれば、誤解される危険性は少ない。すぐに出来ることは改めたい。

最後に、長谷川さんのメッセージを紹介したい。「『逃げ道』がないプレゼンは自分も相手も不安。『落としどころ』がないプレゼンは自分も相手も行き詰まる。妥当な逃げ道と妥当な落としどころを用意しておくことで、効果的なプレゼンが実現できます」。

尾藤克之
コラムニスト

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