子の虐待死対策に首相、都知事が動く

2018年06月18日 06:00

児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議で発言する安倍首相(官邸サイトより:編集部)

悲痛な反響が続々と

東京都目黒区で女児が両親の虐待受け、やせ細り5歳で短い生涯を閉じました。この事件を「子を虐待死させた親は死刑に相当」(6月7日)としてブログに取り上げたところ、アクセス数、コメント数も異例の多さになりました。そこで再び「子の虐待死は親を死刑ーに多数の意見」(6月12日)として紹介しましたら、これにも貴重な意見が多数、寄せられました。そこで3本目を書くことにしました。

子の虐待死に社会の関心が極めて高く、しかも私たちの周辺で頻発し、あまりにも痛ましい事件が続くからでしょう。小池都知事が都としての対策に乗り出すとともに、自治体をまたいで情報を共有できる体制の確立を政府に要望しました。安倍首相は関係閣僚会議を開き、緊急に対策を講じるよう指示しました。加藤厚労相は1か月程度で対策をまとめ、専門委で事件を検証するそうです。

緊急調査で虐待の洗い直しを

この問題の根は深く、「緊急対策」と銘打ち、緊急に解決しようとしても、簡単にできるものではありません。「緊急対策」というのならば、せめて今現在、死の危機に直面している幼児、児童を早急に把握し、虐待する親から引き離し、1人でも2人でもいいから救いだすことです。

ブログの見出し「親を死刑に」には、象徴的な意味を込めました。実態調査、虐待原因の究明、児童相談所や警察の対応システムの再点検、身も心も傷ついている幼児・児童の隔離後のケアの仕方、ボランティア活動を含めた民間の支援体制の確立が必要なことはいうまでありません。

寄せられたコメントをいくつか紹介します。「小さな子供は親以外に頼れる人いない。警察や児童相談所に行けるわけでもない。だから虐待は絶対に許せない。あれだけ、酷い目にあわされても、父親や母親に好かれようと、一生けん命だった。亡くなった女児の結愛(ゆあ)ちゃんの反省文を読むと、本当に涙が出てくる」。「パパ、ママゆるして」という文章に綴られた叫びが社会全体にこだましました。

「3歳半の男の子を育てているシングルマザーです。虐待死させた親の死刑は、賛成です。結愛ちゃんのニュースを見て、涙が止まりません。シングルマザーの私は育児と生活が大変で、心が折れそうになることもあります。わが子はかわいく、どんなことがあっても、守って成人させたい思っています。保育園の先生方に目をかけてもらい、助けられたこともあります」。こうして頑張っている人も多いのです。

法改正や担当者の増員を

「5歳の子のメモで世論が動き、政治、行政が法改正に動いてくれますように。昨年末、4歳児を大人3人がなぶり殺しにした事件があった。3人は傷害致死での逮捕だった。幼児を大人が殴り続ければ、死に至る。傷害でなく、殺人罪を適用すべきだった」、「他人を傷つければ直ちに逮捕なのに、子供に同じことをしても、見逃される現実はおかしい」。法改正で厳罰を適用せよの声は多いですね。

「死刑」については、「肯定すべきか否定すべきか、苦慮する」という声もあります。「極刑」だけでこの問題を解決できないからです。「児童相談所や警察は人手が足りないので増員する」、「児童相談所にもっと強制力のある権限を与え、面会を拒否できないようにする」、「夜間、休日の相談体制を強化する」といった具体的な提案もありました。

「幼少期に親から暴力をふるわれた子供は、大人になると、自分の子に暴力をふるう。児童虐待は繰り返される歴史なのです」。「子供がいる女性が再婚して、相手の男性との間に子供が生まれると、先に生まれた子が虐待の対象となりやすい」という話も聞きました。どのような親が幼児虐待をするのか、家庭環境調査や精神、心理状態の分析も必要です。

新聞記事によると、結愛ちゃんの虐待事件を、以前住んでいた香川県の児童相談所が「継続支援」の意味で、東京側の担当部署に伝えたのに、「情報提供、終結事案」と受け取ってしまい、間違った対応をしたとのことです。警察と児相の間の連携にも問題があるようです。多数、寄せられたコメントに込められた怒りの叫びを役所の担当者は熟読し、緊密な連携に努めてほしいですね。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2018年6月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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