発達障害とどう向き合うべきか

2018年06月18日 06:00

新幹線殺傷事件「発達障害と犯罪」を強調した報道への大きな違和感という記事で、筑波大学教授の原田隆之教授が「発達障害と犯罪」の関連性について、議論されています。

原田教授は、マスコミの中には、「発達障害」を原因としているように、専門家が解説をしていましたが、その報道姿勢に

本件の背景として光を当てるべきは、発達障害という目立つ要因だけではなく、家庭や学校、そして職場での不幸な対人関係や疎外感などを背景にして、障害を持つ容疑者が徐々に行き場をなくし、追い詰められていった過程のほうであろう。

と苦言を呈されています。

専門健康心理士の勝沼悠氏

発達障害という枠が変化していく中で、私たちは様々なことを発達障害で説明できると思い込み過ぎてはいないでしょうか

と、犯行に至るいくつもの要因が複雑に絡んだ中に発達障害も関係していると述べています。

学校現場での発達障害児の理解

私自身も、学校現場で発達障害の子供を何人も見てきましたので、いろいろ思い起こすことがあります。授業中に机の上に立って奇声をあげる子供、いきなりキレて隣の子供に殴りかかる子供とかなりその対応に悩まされました。

そんな中で思い出されるのが、A君(当時7歳)です。彼はたしかに授業中座ってられなかったり、授業中に本を読んだり関係ないことをしていました。ただ、他の子供に危害を加えることもなかったので、私はそのままにしておくのがいいかと思い、好きなようにさせていました。

A君は、ADHD傾向とアスペルガー傾向(自閉症スペクトラム)との診断がありましたが、わりとおだやかでした。けれども、お母さんがとてもきびしく、家では殴られて、よい子にしていました。お母さんに「やりすぎじゃないですか?」と言っても、「この子はこうしないとすぐにサボってダメになるんです」と言われました。

学校では、私がゆるーく見ていたので、多少の離席や授業中に関係のないことをしていました。とくに授業の邪魔をすることはなかったので。

校庭の池では授業が始まってもメダカを愛でていて、町たんけん(生活科で自分の町を歩いて調べる学習)に行けって「なにがありましたか?」と訊けば「きれいなお姉さん!」と素で発言するなかなか愉快な子供でした。

専門家(お医者さんや臨床心理士)に訊いても、どう対応すべきか答えは判然としませんでした。

彼を思い出すと、母親のように鉄拳制裁で厳しく指導し社会の規律を教えるのがよかったのか、私のように危害さえなければのびのびとさせておくほうがいいのか、いまでも考えさせられます。もちろん、危害をくわえるほど安定していないADHDの子供も多いです。ケース・バイ・ケースとも言えます。

きびしく躾けたほうがよいのか

また、B君(当時9歳)は音楽の授業が大の苦手。リコーダーなんて、指が思うようにいかないから、苦痛でしかないのでした。おまけに、その手の子供は、音にも敏感。音楽の時間、その場にいることも厳しいのです。

でも、母親はそれを許せず、とうとう授業参観の日、Bの横に張り付いて音楽を受けさせました。B君の無表情顔が、いたたまれなかったです。音楽は、楽しいものなのに。

件の容疑者も当初は発達障害と言われていました。養育や教育のどこで間違えたのか、どこでどうすればあのような凄惨な暴挙に出なかったのか。私の中でもいまだに答えは出ていません。

中沢 良平(元小学校教諭)

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