悲しい事件はもう最後に。子どもの虐待防止に向けたフローレンスのアクション

連日の子どもの虐待事件の報道を受け、フローレンスにも様々なご意見が寄せられています。たくさんの方がなにかアクションを起こしたいと感じていらっしゃることが伝わります。

先日、僕らが発起人となり「なくそう!子どもの虐待プロジェクト2018」を立ち上げました。子どもの虐待再発を防ぐ制度を創ることを政府や東京都に求めるため、署名キャンペーンをスタートし、およそ10日で約10万人の賛同署名が集まっています。

105,402 名の賛同によって、このオンライン署名は成功に導かれました
もう、一人も虐待で死なせたくない。総力をあげた児童虐待対策を求めます!

(署名キャンペーンのURL:結愛ちゃんの為に祈ろう)

本取り組みについて記者会見をし、多くの報道で取り上げられました。近日中に加藤厚生労働大臣、小池都知事に署名を届け、提言を政策に盛り込むよう訴えます。

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報道の一例 6/22東京新聞・6/21TBSニュースより

しかし、様々な関係者があらたな仕組み・制度づくりに奔走する今この瞬間も、辛い状況にある親子がいます。

そんな親子を支えるため、児童虐待や不適切養育という社会問題への解となるモデルを目指し、フローレンスはいくつかの事業を実践しています。

児童虐待を防止するため行っているフローレンスの取り組み

(1)赤ちゃん縁組事業

子どもの虐待死の中で一番多い年齢は0歳児、その中でも産まれたばかりの0歳0日児が大半であることをご存知ですか? 2週間に1人、産まれると同時に遺棄されるなどして亡くなっています。

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この問題を解決するために、フローレンスは「赤ちゃん縁組事業」を2016年から開始しました。

予期せぬ妊娠に悩む女性からの相談を聞き、適切なアドバイスをし医療・福祉機関につないで支援しています。

出産後、お母さんが望んだ場合は、特別養子縁組の制度を使って育ての親を希望する夫婦に赤ちゃんを繋ぐ事業です。

現在までに、977名の相談に乗り、8組の新しい家族が生まれました。

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(2)経済的に苦しい家庭の支援(こども宅食、病児保育ひとり親家庭サポート)

子育て中の親が社会的・経済的に孤立すると、虐待につながるリスクが高まります。日本では7人に1人子どもが相対的貧困状態にあると言われており、経済的な苦しさは親子を苦しめる原因のひとつです。

こども宅食」は、フローレンスが複数のNPOと自治体(文京区)と共同で行っている事業です。文京区内の経済的に苦しいご家庭に、2ヶ月に1度米や調味料、缶詰、お菓子などの食品を宅配しています。

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実はこの事業は、食品を届けることだけが目的ではありません。

高齢者の見守り事業で培ったノウハウを持つ運送会社、ココネット㈱がご自宅に直接食品を届けますが、その際には家庭の困りごとを聞き、必要に応じて行政の制度や施設といった社会資源につなげていくことを目指しています。

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また、定期的にLINEをメインとした気軽なツールでアンケートを取ること等をきっかけに、いつでも子育ての悩みを相談できる窓口をオープンにし、必要な支援につなげるなど、家庭のリスクが高まることを防いでいます。

なお、フローレンスが子どもの貧困解決と親支援を始めたのはちょうど10年前。

フローレンスのひとり親支援」という事業をきっかけにしています。相対的貧困率が高いと言われるひとり親家庭が仕事を失わず安心して働けるよう、寄付を原資とした安価な病児保育サービスを届けて、10年でのべ950名を支援してきました。寄付者の人数は約2400名にものぼります。

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(3)保育ソーシャルワーク

東京都内と仙台市に18の保育園を運営するフローレンスでは、保育園の中だけにとどまらず、家庭をより積極的に支援する「保育ソーシャルワーク」を始めました。

きっかけは、過去にフローレンスの保育園に通うお子さんのご家庭で、不適切養育のリスクが高いケースがあったことです。園と事務局、行政など関係機関で情報を連携しながら、ご家庭への支援を行いました。

家庭のリスクに気づき、早い段階で支援するための取り組みが必要であることをその経験を通して知りました。保育園や幼稚園、小学校、学童クラブ、そうした場所は子どもの様子を毎日見ることができ、もっとも早く支援が必要な家庭にアクセスできる窓口です。

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現在は東京と仙台それぞれ1人ずつソーシャルワーカーを配置し、巡回などを通して園との連携と情報の共有を行っています。(詳細:児童虐待をなくすための、保育園の新しい役割とは。「保育ソーシャルワーク」始めています

保育園にソーシャルワーカーを配置するという取り組みはとてもめずらしいことです。

制度化されていない保育ソーシャルワーカーの配置に対する補助はなく、フローレンスが費用を持ち出しで採用・配置をしています。

私たちの取り組みで保育ソーシャルワークの事例を作り、将来的には、各保育園にひとり、あるいは子ども人数あたり何人、といったかたちで、保育ソーシャルワーカーの配置が制度化されるよう、働きかけを行っていく予定です。

フローレンスを応援してください

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こうした取り組みは、皆さまからの寄付がなければ続けていくことができません。

ぜひこれからもフローレンスを応援してください。「なにかできることはないか」と思った方は署名や記事のシェア、ご寄付をお願いします。

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赤ちゃん縁組事業への応援はこちらから

「こども宅食」の詳細と応援はこちらから

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編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2018年6月25日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。