出張で貯めたマイルを使う品性のない経営者たち!

荘司 雅彦

とある会社に勤務している知人が、先般、次のような愚痴をこぼしていた。
「うちの会社のバカ重役が家族でハワイに旅行に行った話をしたんだけど、会社の出張で貯めたマイルで航空料金が賄えたと自慢していてさ~本当に品性を疑ってしまったよ」

私は咄嗟に、業務上横領や特別背任という罪になるのではないかと考えた。

調べたところ、航空会社のマイルは搭乗した個人に付与されるもので、航空券を購入した会社には帰属しないとのこと。
したがって、会社に付与されたマイルを私的に使用したことにもならない。

社用であっても、当人個人に付与されたマイルは当人しか使えないので、それを使っても犯罪にならないということだった。
詳しいシステムには疎いので、細かな点での誤解があるかもしれないが、法には触れないという結論だけは確かなようだ。

上記のように、あくまで搭乗した個人に付与されるものであれば、社内の規則で使用を禁止するのもナンセンスだ(せっかくのマイルを使わないのは損だ)。

そうは言っても、他の従業員たちとしては不愉快な話だろう。

マイルを貯めるために不要な出張を繰り返すようなケースなら、「図利加害目的」が認められて背任罪になるかもしれない。
しかし、現実にはそれを立証するのは不可能だろう。

こうなると、当人の品性の問題だ。

法律にも触れず社内規則でも縛れないからと言って、チャッカリ役得を懐に入れてしまうのは役員として失格だ。
せめて、浮いた航空運賃分の土産を従業員たちに買ってきて、会社に還元するくらいの度量は必要だ。

サラリーマン社会では、地位が上がるほど会社の経費を使えるようになる。

昔、銀行員だった頃、支店長が「独身連中にごちそうしてやる」ということで飲食させてもらった。
支払いの段になって、支店長が自分の名刺を渡して「こちらに請求してくれ」と言ったのを聞いて、複雑な気持ちになった。

会社のお金はわれわれの働きによって蓄積されたものだ。
そこから支出されて「ごちそうさまでした」と深々と頭を下げる必要はないのではないかと…。
自分の財布から万札を出していれば、私はきっとその支店長を尊敬していたに違いない。

部下は上の品性をしっかり見ている。
くれぐれも、役得に甘えるような下品なことは止めた方がいい。

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荘司 雅彦
講談社
2006-08-08

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年6月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。