虐待根絶路線確定、受動喫煙防止条例可決。第2回定例会終了!

第二回定例会は本来議案が少なくて、スムーズに終わることが都議会の長年の通例でした。しかし、2013年上田初当選以来、セクハラ野次問題、舛添前知事辞任と様々な騒動がおこり、かがやけTokyoでは「魔の二定」と呼び習わしておりました。今回もご多分に漏れず、開会直前に目黒区虐待死事件の追加報道がなされ、大きく小池知事、都庁、都議会を揺るがしました。

また、多くの都民が望んでいた受動喫煙防止条例にも注目が集まりました。以下、かがやけTokyoの討論をご紹介いたします。

引き続き虐待情報全件共有を求める

私は、かがやけTokyoを代表し、知事提出の全議案に賛成し、議員提出議案10号及び11号に反対の立場から討論いたします。

さて、本定例会ではその開会の直前に、今年3月に発生した目黒区における5歳女児虐待死事件について、「おねがいゆるして」という痛ましいノートが発見されるなど、信じがたい事実が次々と明らかになりました。かがやけTokyoでは、当初からことの重大性に気づき、事件3日後の第一回定例会で唯一、本件についての一般質問を行い、「虐待事案の児童相談所と警視庁の全件共有」を強く求めておりました。その際の知事答弁は残念ながら、「警察はじめ関係機関と一層連携を深める」とに留まりました。

一方、事件を受け虐待防止を進めるNPOから都議会へ全件共有を求める陳情が厚生委員会及び、警察消防委員会に提出されておりました。折しも痛ましいノートが発見された翌日6月8日、全国民注目の中、陳情審査がなされたものの、警察消防委員会では残念なことに反対多数にて否決。厚生委員会では、「継続審査」となりました。これを受けた厳しい世論の風により、知事が「通常の査定と切り離した優先措置による児相体制強化、副知事をトップに据えたプロジェクトチーム設置、都独自の虐待防止条例制定」を決めたことは高く評価し、多くの声を都庁と都議会に届けた全国の心ある皆様に感謝するものです。

しかしながらこれまでも都においては、数多くの痛ましい虐待死事件が発生し、そのいずれも関係各機関が機動的に動いていれば防げた事案でした。児相、区市町村が関与しながら虐待死に至った子供は、過去10年で26名に上ります。知事は陳情審査後の記者会見にてこれまで「警察との連携や法的対応力の充実を図ってきた」と語りましたが、この体制だったにも関わらず26名が亡くなっているのです。

虐待情報は、全件かつ無条件に共有しなければ常に裁量の余地が生まれ、結果虐待事案の児相による「抱え込み」が発生する可能性が排除できません、このようなリスクがあることを十分承知され、高知、茨城、愛知に続き、埼玉、岐阜の県知事が全件共有を明言しています。子ども達が亡くなってから「不幸が重なる」「亡くなられたことは重く受け止める」という答弁はもう二度と聞きたくないという強い、強い思いから、是非、知事以下全庁で覚悟をもって、全件共有に踏み切って頂きたいと切に願うものです。

あわせて、今般提出される意見書「児童虐待防止策の強化及び充実に関する意見書」におきまして、各会派の尽力により作成されたことは一歩前進であるものの、情報の全件共有・里親委託率の達成・親権停止措置への言及が残念ながら反映されなかったことから、共同提案ではなく賛成に留めるものです。引き続き、かがやけTokyoは、全件共有を求め虐待死ゼロの実現にむけて尽力して参ります。

受動喫煙防止条例は課題はあるも評価

続きまして、受動喫煙防止条例についてです。「人を守る」という観点から、従業員がいる飲食店を原則屋内禁煙とすることを柱とした本条例は、国の法案が著しく後退する中で、禁煙対象を八割以上にまで適用する画期的なものと評価いたします。もちろん、本条例も完璧なものではありません。科学的な見地から見れば、密閉型であっても屋内に喫煙スペースがあると受動喫煙を防ぐことができないのは自明であり、屋内喫煙所整備を支援することに対する批判の声もあります。しかしながら、他国と異なり屋外禁煙から施策をスタートした我が国においては、激変緩和措置としてこうした対応を取るのは、現実的にやむを得ないものとするところです。また、喫煙者への配慮として、我が会派がかねてより要望していた屋外喫煙所の整備に踏み込んだことについては、高く評価し、今後の展開を期待いたします。

一方、加熱式タバコの取扱については知事が当初示した案より後退し、規制対象外となった点は極めて遺憾であり、健康影響に対する迅速な調査と、遠くない時期の条例改正を強く望むものです。

本条例案の審議にあたっては参考人招致が行われ、また修正案の提出に伴い議員間での質疑応答が活発に行われるなど、議会のあるべき姿・あたらしい議会の息吹が感じられたことは望ましい変化です。しかしながら、議員提出として示された修正案の一つは、加熱式タバコを規制対象とするなど極めて合理的だったにもかかわらず賛成少数で否決され、結局のところ修正も付帯決議もされずに、知事提案に追随する結果となりました。都民の関心が高く、知事提案が後退した本条例案こそ、議会側が民意と政策立案能力を示すべき案件だったのではないでしょうか。知事提案条例内容を国に先駆けたものとして一定の評価・賛成をすると同時に、今後の条例改正に向けては、議会側も主導的な役割を担うべきであることを申し述べるものです。

障がい者中心の条例運用を

障がい者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例です。規制対象を行政と事業者に限定している点、差別や権利侵害の定義や例示をしていない点、あっせんの対象となる事案について、「都民への影響が大きい事案」でなければならないという障壁を設けている点が懸念されます。障害者個人に対する権利侵害への救済に当たって、「都民」という抽象的な存在への影響を判断して、あっせんの可否を判断するという立て付けは、他自治体の条例にないハードルであることは専門家も指摘しております。一方、「障害の社会モデル」を明記しているという点は、評価に値すると思います。この条例が全都に周知され、特に障がい当事者に活用されるような運用と議会への報告を求めておきます。

法定外目的税の宿泊税、使うことが目的化?!

次に、宿泊税改正条例についてです。これは法定外目的税であり、導入当初、都の独自財源の確保の取り組みとして全国から注目されました。銀行への外形標準課税の呼び水になったとも考えています。15年を経て、当時とは財政状況が大きく変化し、徴税側も納税側も負担感があります。観光産業振興費の内、占める割合も15%となり、財源を使うことが目的化していると言わざるを得ません。

そもそも、観光振興に熟達していない行政が波及効果も不明なまま税金事業を行うよりも、民間に自由にやっていただき、節税対策コストを気にせず大いに稼いで頂き、景気循環を促して結果、税収アップに貢献いただけるものと考えます。無用な税金をとったり、煩雑な手続きで民間の邪魔をしないことが都の努めだと思います。公平・中立・簡素という税制の基本原則に立ち返り、オリパラ期間中だけの停止ではなく、廃止することで、インバウンドを受け入れる国際金融都市、メガロポリスとして世界の都市間競争に勝ち抜き我が国の観光産業を発展させていくことを求めます。

足立区への都有地払い下げをチェック

土地の売払いについてです。都営住宅跡地を足立区に37億円で売却し、東京都女子医科大学東医療センターが建設されるというものです。地域住民待望の都の二次救急、厚労省の三次救急指定病院の誘致と側聞しております。私どもは、足立区の購入予算が70億円という売却額との乖離に着目、算出方法の違いによって、価格の差異が生じたこと、豊洲、森友問題のようなことが発生しないよう売買仮契約書をチェックし、土壌汚染、地下埋設物が発見された場合、都はその責めを負わない契約内容であることを確認しました。都有地は貴重な都民財産ですから、区市町村のニーズに応じての売却は公益性のもと有効活用となりますものの、その売買においては、適正な価格とプロセスの透明性を確保して、今後とも説明責任を果たすよう求めるものです。

工業用水事業廃止は、当然の時代の流れ

工業用水の廃止です。知事がリーダシップをもって進める実行プラン2020、事業廃止を含めた抜本的経営改革の一環として「工業用水道事業のあり方に関する報告書」が提出されました。工業用水は高度成長期の遺物です。中小事業者の水資源確保には、一定の役割を果たしてきましたが、産業構造すら変化してきています。受益と負担の公平性を確保しつつ、移行していくことが確認できると同時に廃止に向けて覚悟をもって進める知事の姿勢を高く評価するものです。なお、国庫補助金17億円の返還にあたっては、財産の転用ではなく不採算事業の廃止に伴うものなので、都民負担を最小化すべく粘り強く国との交渉に臨むよう、重ねて求めます。

ふるい議会に戻った野次議会へ警鐘を促す

さて、かがやけTokyoは少数会派ながら、いち早く目黒区の5歳女児虐待死事件や受動喫煙防止対策、あるいは情報公開、議員提案の推進といった都政の重要課題に全任期から取り組み、積極的な情報発信で都民と世論を喚起し、オール都議会で問題解決に取り組むことに先鞭をつけ、貢献して参りました。引き続きテコの原理で都政を動かし都民福祉の向上に寄与してまいりたく、ご支持、ご支援をよろしくお願い申し上げます。私達東京都議会は2014年セクハラ野次問題が発生し世界中の批判を浴びたことを厳粛に受け止めて、静謐な議会運営を心がけるように改善してきました。しかしながら「ふるい議会を新しく!」と掲げた都民ファーストが大量当選した改選後、みたび、数の力に任せた、野次と怒号の悪しき慣習が復活してしまいました。これが東京大改革なのでしょうか?ここは都民に選ばれた選良たる都議が礼節を持って議論を戦わす崇高な民主主義の聖堂です。

議長におかれましては、議場の秩序保持の職務がありますことから、地方自治法第129条第1項不規則発言を禁止、都議会会議規則第108条(議事妨害禁止) に基づき今後厳粛な議会運営をもとめるものです。

お姐総括!

本会議最終日は知事が各会派に挨拶に回ります。今回は全議案賛成だったためか、ガッチリ握手をしました。「あなた早口ね(笑)」とのお言葉も頂戴しました!

知事お墨付きの上田早口討論動画はこちらです。


先の定例会にて成立した、東京都迷惑防止条例第五条は

「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行 為であって、次に掲げるものをしてはならない。 」

とあります。数の力を借りた威圧的な野次は、やられたものにしかわからない恐怖感、不安、言ってることがあたかも間違っているのではないかという無用な羞恥心を発言者に抱かせます。都議がこの条例違反にもとる行為をしてはなりません!

威勢よく野次攻撃するその無駄な余った力は、他の議員へではなく権力と官僚主義へ向けよ!!


編集部より:この記事は東京都議会議員、上田令子氏(江戸川区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年6月27日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は上田氏の公式ブログ「お姐が行く!」をご覧ください。