起業2周年の障害者社長が語る、炎上覚悟のマジ本音!

障害者社長の仕事の社会的意義

「株式会社なの?なんで?」

まんまる笑店を作ったときに散々聞かれました。言外に、「障害者がやるなら普通NPOでしょ。」という声が聞こえてきました。私には理解できない質問でした。私の答えは、「会社と言ったら普通株式会社でしょ。」というだけです。なぜ、障害者の世界に私を追いやろうとするのでしょうか?

私はALS代表ではなく、障害者代表でもありません。私は恩田聖敬です。

これまで、周りが求めるものとのギャップを感じて来ました。私は、社会的弱者のためのみに働かなければいけないのでしょうか?私のやることには、壮大な大義が必要なのでしょうか?

「税金で生きてるのだから、、」とも言われます。万が一の時に生きる権利を守ってもらうために、納税の義務を果たしてきました。加えて、ALS罹患について、「あなたは何も悪くない。ただ運が悪かっただけです。」と医師に言われました。そんな私は、好きには生きてはいけないのでしょうか?運が悪い人は、泣き寝入りするしかないのでしょうか?

私は自分をエンタメの土俵でビジネスをする人と位置づけています。だから、私の講演は笑いあり涙ありの感動作品となるように、ネタをちりばめて、ストーリーと演出にこだわってきました。お客様の層にあわせて、少しでも伝わりやすくなるように、細部を変更して来ました。全く同じ講演内容は一度たりともありません。講演を生業とするための、私のプライドでした。

一方、私の講演は実用的ではありません。便利グッズでもありません。必要不可欠かと言われると言葉に窮します。しかしながら、映画や音楽というエンタメには、時として人の心の琴線に触れ、寄り添う力や背中を押す力があります。聞く人の人生の一服の清涼剤になることが、私の講演の目指すところです。

私は、障害者とか健常者とか関係なく、目の前のお客様を笑顔にしたい、ただそれだけのために仕事をしています。老若男女問わずに、『自分を好きでいられる人生は楽しい!』ということを伝えたいのです。ALS含めての「生き方の一つの例」を示したいのです。そのために株式会社まんまる笑店を作ったのです。

これじゃあ、ダメですか?障害者が働くには不純ですか?

実は、秘書が8月末で退職することになりました。会社設立から2年、懸命に働いてくれました。しかし、会社の経営は安定せず、秘書業務と介護を双方やらざるを得ない状況で、疲れ果ててしまったというのが正直なところです。この度、秘書のご家庭の事情も有り、郷里の福岡に戻るとのことです。今後の彼の人生に、幸多いことを願うばかりです。

次の秘書は決まってません。

でも、私は1人になってもまんまる笑店を続けます。大丈夫、なんとかなります。私はこれまで、人に後ろ指を指されるようなことはしていません。だから大丈夫、きっと素敵な出会いがあります。足りないものは、誰かに助けてもらって補えばいいのです。人が社会で生きていく以上、補い合うのは自然なことです。

6月30日は、まんまる笑店の誕生日です。無事に2歳になりました。これから先も社会の中で、成長させてください。よろしくお願い致します。

恩田聖敬


この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏(岐阜フットボールクラブ前社長)のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2018年6月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。