「ひとり言」は自分の投影。1つ上のレイヤーから見る?

2018年07月04日 11:30

画像は書籍書影(筆者撮影)

アゴラでは、「出版道場」「著者セミナー」を開催している。そのため、日々、多くの書籍が送られてくる。「世の中に埋もれている優れた本を発掘すること」を目的にして、書籍紹介をはじめたのが、約3年前。著名人、ベストセラー作家でなくても、魅力的な書籍であれば可能な限り紹介につとめてきた。

正確に記するなら、私が書いているのは書評ではない。書籍の内容を元に著者や編集者に対してヒアリングなどを行い、一部を引用しながらまとめる方式をとっている。イメージとしては、ルポルタージュが近いが、昨今ではルポルタージュという言葉を使用しないようだ。私は、「ブックルポ(BookRepo)」と勝手に命名している。

「ひとり言」は自分の投影

今回は、『あなたの魂からのメッセージ』を紹介したい。「あな田さゆり」さんが、文と写真を担当、「力石ありか」さんが、ブックデザイン・イラストを担当している。内容は、あな田さんが、facebookとブログで綴ってきた文章や写真を編集したものになる。

また、「力石ありか」さんは、「日本舞踊の師範に聞く歴史と魅力!歌舞伎の語源は“傾く”?」で紹介した、「坂東ありか」さんと同一人物になる。

本書は、大切なあなたへ向けたメッセージとして構成されている。『ラブレター』から始まり、『生まれて死ぬ』。生き方をテーマにして、豊かな人生を手に入れるために、どう行動すればいいか、どう乗り越えていくのか、人間関係や仕事をどうするか…。迷っている人に「生き方のヒント」を示唆している。

あなたが社会人であれば、会社組織が理不尽であることは理解しているだろう。上司とウマが合わなかった。毎日のように叱られて精神的にもかなりシンドイ思いをしている。「ちくしょう。なんでオレばかりがこんな目に・・・」。毎日、上司は怒り狂い同僚や部下の冷たい視線がつらい。こんな状況をどのように打開していくのか。

上司の恨みつらみや、会社の理不尽を嘆いたところで環境は改善しない。そのような時ほど、自分自身に向き合う作業が必要になる。本書では、自分自身の声を聞き、向き合うことを「ひとり言」と表現している。誰でも仕事中につい「ひとり言」を言ってしまうことがある。なかには、四六時中「ひとり言」を言ってる人もいる。

あな田さんによれば、私たちは毎日5万語のひとり言を無意識に話し聞いているそうだ。ひとり言とは、「会話の相手が存在しない会話」ではなく、「会話の相手が“自分”の言葉」になる。そして、「自分との対話(ひとり言)の質」を高めることが必要だとしている。

「自分との対話(ひとり言)の質」を変えることで、人生を自由に生きなから、大切な人と温かい関係を維持することが可能になるからである。しかし、人は、夢や目標について考えた峙、「もしこれが叶ったら」と同時に、「叶うはずない」という声が、自分の奥深いところから聞こえてくることがある。これがその人の「本音」になる。

人は歳を重ねていくと、縦軸ではなく平面のうえで水平移動をしがちになる。しかし、自らを客観視して、自分を変えようを思うのであれば、1つ上のレイヤーから、いまを見る作業が必要になる。客観視しなければ「本音」を理解することはできない。

たまには「YES!YES!YES!」

いまは、出版不況といわれている。出版市場は最盛期とされる1996年の6割程度に落ち込み、読書時間・読書冊数ともに減少傾向にある。文科省の調査結果よれば、不読率(1か月で読んだ本の冊数が「0冊」と回答した生徒の割合)は、小学生が1割未満、中学生が約1~2割、高校生が約3~4割とされている。

本書は、ISBNコードが割り当てられた書籍とは異なる。しかし、読んだものを引き込む魅力がある。写真とイラスト、メッセージを組み合わせた内容から、なにを感じることができるか。このようなテイストの書籍が増えれば読書嫌いも減るにちがいない。

なお、筆者が気に入った「ひとり言」は「YES!」である。天使と達磨がジャンピングでYES!。自分が「YES!」なら迷うこともない。たまにはこんな本もいいだろう。

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

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