同床異夢の国会改革、“平成のうち”に目処は立つか

新田 哲史

きのう(7月5日)夕方、小泉進次郎氏らが主導する超党派の「『平成のうちに』衆院改革実現会議」(会長・浜田靖一元防衛相)の第2回会合が衆院第一議員会館で行われ、事後の報道向けブリーフィングに参加した。

国会改革を巡っては、6月末に自民党内で小泉氏ら若手議員でつくる「2020年以降の経済社会構想会議」で提言を発表。さらに野党にも参加を呼びかけ、国民民主党や維新の会などが加わって6月28日に今回の「実現会議」がスタートした。

来年5月1日の新元号を見据え「平成のうちにまず成果を」(小泉氏)と意気込んでおり、きのうの会見によれば、まず党首討論の活性化やタブレット使用等のICT化について次回13日にも提言をまとめる方向で一致した。

このほか、第2回では、女性議員から妊娠中の国会出席の対応見直しの必要を指摘する声や、質問時間の残り時間の表示を明確にすべきという意見も出されるなど議論は活発だったという。

ただ、「同床異夢」が見え隠れするのが事実だ。ブリーフィングでの質疑で、こんな場面があった。

自民若手による構想会議の提言でも俎上にあがったように、他国に比べて異様に多い首相や閣僚の拘束日数に関する見直しも国会改革の論点のひとつだが、実現会議の事務局長でもある小泉氏が「総理や閣僚が1分1秒でも長く国会にいることが行政監視を果たすのは勘違いだと思う」と熱っぽく持論を展開した。

ところが実現会議幹事長の泉健太氏(国民民主党)が「議連の意見ではない」と釘をさし、「1分1秒でも長く国会にいればいいとは思わないが、1分1秒でも短くすればいいとも思わない」と、明らかな温度差を感じさせた。モリカケ追及に関して、玉木代表が特別委開催による切り分けという合理的な提案をしている国民民主党ですら、こうなのだから、実現会議参加を拒否し、モリカケに命をかけている立憲民主党や共産党の議員からはそれこそ「1分1秒でも拘束しろ」という本音が聞こえてきそうだ。

会見終了後に話し込む小泉氏と泉氏

小泉氏は不満を隠せなかったのか、ブリーフィング終了後、取り囲む記者たちに対して「出席日数についてもっと報道してほしい」と注文をつけていたが、たしかに以下の表が示すように、客観的な事実としても日数の違いは明らかだ。この春も、財務省の不祥事追及対応により、麻生財務相がG20財務相・中央銀行総裁会議への参加を断念せざるを得なかった。

皮肉なことに、この日、参加議員や報道陣に配られた、国会運営に関する過去の各党申し合わせなどの資料のなかに、民主党が政権時代の2011年1月に出した「今後の国会運営のあり方に関する提案」があった。その中にこんなくだりがある。

国益および外交上の観点から、総理や閣僚の国会出席義務を緩和し、海外出張を理由とする国会欠席について、弾力的に運用する。同時に、閣僚が国会に出席できない場合に、副大臣・政務官のもとで審議を行うことについて、柔軟に対応する。(太字は筆者

泉氏は鳩山政権時代に内閣府政務官に就任。官房長官という要職も経験したはずの枝野氏は所属議員の実現会議への参加すらしていないが、野党にポジションチェンジして6年も経ってしまえば、弾力的運用の必要性は忘れてしまうのだろうか。

先般の自民若手議員の提言で掲げた、与野党が喧々諤々で法案を討議しあう「真の討論のアリーナ」の理想像への道のりは遠い。だが、まずは一里塚として平成のうちに何を実現できるか、政治不信を深めた国民のなかでも見ている人はいる。