加計学園の会見、森友学園の文書改ざん、なぜ嘘がまかり通るのか?

加計学園の加計孝太郎理事長が、ついに会見を開いた。

6月19日、大阪北部に大地震があった翌日のことだ。場所は岡山市の加計学園。参加できるのは地元の記者だけ。会見を知らせるファクスが地元メディアに届いたのは、わずか2時間ほど前だったという。しかも、会見時間はわずか30分という短さだった。

繰り返すが、会見が開かれたのは、大阪北部に大地震があった翌日だ。日本中を騒がせた大事件、大きな疑惑に包まれた、その中心人物の会見が、このようなものだったとは呆れる。日本の全メディアはもっと怒り、抗議すべきではないか。

さらに、その会見内容にも、僕は強い怒りを覚えた。安倍首相と加計理事長が面会した事実はなかった、それは事務局長の「ウソ」だったというのだ。もしそれが本当なら、事務局長は、愛媛県や今治市、さらには国民をもだましたことになる。「停滞していた獣医学部新設を進めたかった」ために、事務局長があくまでも勝手にやったというのだ。

記者会見を開くと2時間前に告げ、東京や大阪の記者を参加禁止にしたのは、加計理事長だ。彼は、明らかに加計学園の「全権」を握っている。その加計理事長に何の相談もなく、事務局長の独断でこのような嘘をつけるというのか。

会見に参加していたある記者は、その報告をいつ受けたのか、と質問した。だが答えは「覚えていない」だった。さらに、そのことを安倍首相にも、報告していないという。あり得ないことだろう。

もし僕が会見に参加できたら、ぶつけてみたかった質問がある。「その報告を受けたとき、理事長は怒ったのか。それともほめたのか」と。事務局長が、本当に勝手に嘘をついたとしよう。それは40年間続く、安倍首相と加計理事長の信頼関係をぶちこわすことになるからだ。

一方、森友学園の文書改ざん問題だ。渦中の麻生太郎財務大臣は、改ざんの動機について、「それがわかりゃ苦労しない」と発言している。しかも改ざんは、「どの組織にもある個人の問題」と言い放ったのだ。何の責任も取ろうとしない。

そもそも安倍首相が、「学園と関係があったら辞める」という発言をしたことから、森友問題は嘘の連鎖になった。そして加計学園の関係者も、同じように嘘に嘘を重ねているとしか考えられない。嘘が当たり前になってしまっている。これが現在の日本なのだ。大変な事態ではないか。

このような状況にもかかわらず、安倍内閣の支持率は上がっている。日経新聞では、支持率が不支持率を上回った。嘘と無責任がまかり通る政府。それを、国民は許してしまっているのだ。いま、日本という国のあり方は、危機に瀕しつつあるのではないか。僕はこの問題を、真剣に問うていきたい。


編集部より:このブログは「田原総一朗 公式ブログ」2018年7月6日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた田原氏、田原事務所に心より感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、「田原総一朗 公式ブログ」をご覧ください。