オウム事件の死刑執行。しかし親族への誹謗中傷はあってはならない

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。


昨日、あのオウム真理教事件で死刑が確定していた方々の刑が執行され、報道は大雨とこのニュース一色となっていました。

まずは一連の事件で犠牲になった方々に改めてお悔やみを申し上げるとともに、死刑が執行された方々の魂にもやすらぎが訪れることをお祈りしたいと思います。

このタイミングでの死刑執行については、すでに有識者から様々な論考が提示されておりますが、「平成の終わり」の一区切りとして、ここで決断されたことは理解できるところです。

個人的にはつい先日、松本死刑囚の三女・松本麗華氏(麻原アーチャリー氏)を招いてのイベントを行ってお話を伺っていただけに、強い衝撃を受けました。

参考過去記事:
「読書」は他人の人生を経験できる。オウム真理教「麻原彰晃」三女・松本アーチャリーの壮絶な人生

この松本麗華氏と接触していたことをもって、

「オウム真理教を擁護している」
「あの事件を矮小化することに手を貸すつもりか!」

などのご批判を受けましたが、それはまったくの誤解です。

私は一連のオウム真理教事件は極めて悪質な組織的犯罪であると思っていますし、その実行犯・指導者は現行法での死刑適用は免れないと思っています。

※本件については、イベントの共催者でもある宇佐美典也さんのブログもご参照ください

松本麗華さんが主張している「改めての真相解明」については、想いや考え方として理解できますし、仮に松本智津夫本人から「真相」が語られるのであれば、それは知りたいとも感じます。

しかしながら、オウム関係に恐らくもっとも精通しているジャーナリストの一人である江川紹子氏が否定的な見解を示していることもあり、私自身が賛同者となることは見送っております。

ただその一方で。

松本死刑囚を始めとする人々の責任が極刑に値することは疑いないとしても、その家族・子どもたちに誹謗中傷や非難が向かうことはあってはならないと考えます。

すでに松本麗華さんのTwitterには、多数の匿名アカウントから目を覆うばかりのコメントが書き込まれ、信じ難い状態が続いています。

あくまで刑罰は本人が追うものであり、その親族に罪はない(特に子どもであればなおさら…)ことは自明であり、このような人権侵害がまかり通る世の中であってはいけないと思います。

死刑を執行された人々の「神格化」を防ぐとともに、こうした人権侵害についても目を向け、適切な議論や対応が行われることを望むものです。

死刑が執行されても、オウム事件のすべてが終わったわけではありません。

オウム真理教の後継団体はいまだに存続していますし、オウム事件を知らない若い信者が入会しているという事実も指摘されています。

もちろん信教の自由というのはありますが、一連の事件をしっかりと後世に伝えていき、このような悲劇が二度と起こらないように努めていかなければなりません

私自身もこれを機会にいま一度、当時の事件を振り返り、問いかけを続けていきたいと思います。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年7月6日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。