ストーリー的プレゼンの実例①

2018年07月08日 06:00

ストーリーのエッセンスを短いプレゼン等に組み込む方式についてが、前回一般論を解説した。

「絶体絶命ピンチパターン」、「聞き手に解決能力があること」、そして「大義があること」の3つの要素を組み込むことだ。

今回は、この3つの要素で実際のストーリー的プレゼンを分析する。

デニングによる世界銀行でのプレゼンで音声配信と重複するが、ストーリー的プレゼンの代表格ということでご容赦いただきたい。このURLで音声配信にアクセスできる。

世界銀行にナレッジ・マネジメントを導入しようとしたデニングは、数字を使おうがパワポを使おうが組織内の同意を得られなかった。
捨て鉢になったデニングが語ったプレゼンが以下のものだ。

95年6月、ザンビアの小さな町で活動する医療関係者が、アメリカ国立疾病予防センターのホームページにアクセスし、マラリアの治療に必要な情報を入手しました。

これは、世界最貧国の一つであるザンビアの、首都から600キロメートルも離れた小さな町で起こった出来事です。

その点について思いをめぐらせてみて下さい。

ここで我々が最も注目すべきことは、世界銀行がこの件にまったく関与していないということです。

貧困対策に対するさまざまなノウハウを持っているはずの我々が、何百人にも及ぶ人々にその知識を提供する機会すらないのです。

今後我々は、どのような組織になるのでしょうか?

「絶体絶命のピンチ」は、「世界最貧国の一つであるザンビアの、首都から600キロメートルも離れた小さな町」の医療関係者が、藁をもすがる思いでマラリアの治療に必要な情報を求めていることだ。
その背景には、マラリアによって命を失っていく人々がいることは容易に想像できる。
放っておくと、幼い子供たちの命が日々失われるかもしれないという、絶体絶命の状況だ。

「聞き手に解決能力がある」という点は、いうまでもなく世界銀行が「貧困対策に対するさまざまなノウハウを持っている」ということだ。
世界銀行が一丸となってナレッジ・マネジメントに取り組んで情報発信等をすれば、多くの命が救うことができる。

「大義」は、いうまでもなく人命の救済と貧困の撲滅だ。

デニングのこの短いストーリー的プレゼンには、余すことなく3つの要件が組み入れられている。
このプレゼンによって、世界銀行の全行員に意識変化が起こった。

ありとあらゆる手を尽くしても動かなかった組織を、たった一つのストーリーによって動かした名プレゼンと言えるだろう。


編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年7月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。

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