アパホテル拡大のヒントは実践的なホスピタリティにある!

2018年07月12日 06:00

画像は書籍書影(筆者撮影)

1984年、アパホテルは金沢の金沢市内のビジネスホテルとして産声を上げた。その後、東京、全国、そして世界へと展開を拡大し、いまではホテル業界で収益率世界一をとげている。攻めの姿勢で事業を拡大し続けるアパホテル。日本全国と北米に400棟以上のホテルを展開、部屋数は7万2000室、アパカードの累積会員数は1400万人を超える。

今回は、『強運 ピンチをチャンスに変える実践法』(SBクリエイティブ)を紹介したい。著者は元谷芙美子社長。アパホテル成長の秘密を解説した書籍になる。なお、今回の西日本豪雨の被災地に、1億円と「アパ社長カレー」1万食を寄贈している。せんえつながら、このような尊い活動に敬意を表したい。

実践的なサービスを確立するには

「代表(元谷外志雄グループ代表)と私は、これまで夫婦で何度も旅行をしてきました。私たち夫婦の座右の銘に、『発想は移動距離に比例する』というものがありますが、世界中をまわりながら、その考えを体現してきたのです。県外に出たことがなかった私のことを考えて、夫は旅行先に返還前の沖縄を選んでくれました。」(元谷芙美子社長)

「『行きは船、帰りは飛行機と新幹線に乗るぞ!』。船にも新幹線にも乗ったことがなかった私にとっては、なんともステキな提案です。出発日は、大阪で開催された万国博覧会の開会式当日。まるで日本中が私たちの船出を祝福してくれているようで、高揚感も最高潮。ところが、神戸を出航したとたん、低気圧に巻き込まれました。」(同)

さらに、追い討ちをかけるように帰りの飛行機も大揺れる。そんな波乱に満ちた旅行でも、何もかもが新鮮で、うれしい発見の連続だったと語っている。

「アパホテルといえばビジネスホテル、というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんね。近年はリゾートホテルの部門を設けて開発にも力を入れています。実際にリゾートを訪れて、身を置くことで、今、どのようなサービスがお客さまに求められているかを体感しながらリサーチしようという狙いもありました。」(元谷芙美子社長)

「昨今は、インターネットで動画も見られるので、現地に行かずに情報を得ることはできます。それで見られるのは、フィルターがかかった一部分。ほおを撫でる海風、刻一刻と変わる海の表情や澄んだ水の清らかさ、そして、レストランでいただく現地の素材を使った料理の数々。インターネットの画像や動画では味わえません。」(同)

たとえば、あるリゾート施設では、広い敷地内に点在するゴルフ場やレストランのほか、海岸に出かけるときもカートに乗って移動する。そこには、カートのドライブ中に感じる樹々の香りなど、いままで知らなかった世界が広がる。

「自分が今まで知らなかったサービスや環境を感じることで、参考にすべき点は取り入れようと考えますし、またそれよりもいいものを作ってみようと、発想も広がります。だから多忙な日々のなかであっても、こういった時間を費やすことは、その時間に余りある効果をもたらしてくれると考えています。」(元谷芙美子社長)

「アパグループでは、創業以来社員旅行を欠かさず続けてきました。もてなす側には独特の緊張感が生まれ、訪れる側にも新しい発見がある。互いに気づきがあることに加えて、普段は同じ会社で働く同士でありながら顔を合わせることがほとんどなかった社員の交流の場にもなり、会社全体の一体感を高める場にもなっています。」(同)

最近では、社員旅行や社員総会を控える会社が増えている。その時間を、気づきのチャンスと考えるか、捉え方次第で効果は変わると、元谷芙美子社長は述べている。

サービスのベースはホスピタリティ

現在、アパホテルは、元谷拓(代表取締役専務)が新しい施策を次々に打ち出している。経済誌などを読むと、リーマン直後から、東京での展開を進めてきたことが理解できる。なお、リーマン直後なので、東京オリンピックは確定していない。

画像は元谷拓専務(ダイヤモンド倶楽部表彰式)

全国的にホテル競争は熾烈なものになっている。差別化は、各ホテルにとって生命線になるが、筆者は「ホスピタリティ」がキーワードになると考えている。ホテルは宿泊者にとってリラックスできる環境が望ましいが内装や清潔感、料理などのハード面も重要である。しかし、ベースに「ホスピタリティ」がなければ適切なサービスは提供できない。

社長以下、アパホテルの社員約1200人は上級又は普通救命技能認定証を所持している。「AEDの使い方含めた応急手当の方法について、消防庁の講習を受けている」ことを示す認定である。また、全客室に「煙ふせぐ~ん」という煙を防ぐための防災グッズを自主的に設置している。これは消防検査の際にも、高い評価を受けている。

筆者は、「アスカ王国」という障害者支援活動をおこなっている。1981年の国際障害者年に設立し、現在は、橋本久美子さん(故橋本龍太郎首相夫人)を会長にして活動を続けている。これまでに全国50ヶ所以上で開催し、参加者総数は約2万人を数えている。参考記事(若い世代がやると影響力が違う!社会貢献活動の重要性)。次回、機会があれば、元谷拓専務に、アパホテルのホスピタリティ施策について伺いたいものである。

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

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