北の経済復興のためカジノ建設を

2018年07月12日 11:30

Kelvin Tan/flickr:編集部

北朝鮮の非核化の行方は、ポンぺオ米国務長官の訪朝後も不透明、というより、一層不確かになってきた感がある。当然かもしれない。北朝鮮にとって目下、核兵器と中長距離弾道ミサイル開発は数少ない国際社会での交渉材料だから、そう簡単には手放さないと考える方が自然だろう。トランプ米大統領にとって北の非核化問題は11月の中間選挙の選挙対策の一環かもしれないが、北にとって国家の運命を決定する重要案件であるから当然かもしれない。

その一方、金正恩朝鮮労働党委員長は国内経済の成長のために、ひょっとしたら本腰になって取り組むかもしれない。米朝首脳会談が開催されたシンガポールでも時間があれば市内を見学し、シンガポールの経済発展の実態を視察する一方、中国経済地区を積極的に回っている。開城工業地帯の再開は手っ取り早いが、それは一時しのぎに過ぎないことを金正恩氏は知っているはずだ。

朝鮮中央通信が今月1日報じたところによると、金正恩委員長は中国と国境を接する北西部の平安北道新義州市にある化粧品工場を視察、前日の30日にも中国と共同開発していた経済特区、黄金坪島に含まれる同道薪島郡を見て回っているから、金正恩氏の経済復興にかける決意は本物かもしれない。

海外中国反体制派メディア「大紀元」が10日、米カジノ業界専門紙「カジノニュース・デイリー」8日付の報道として伝えたところによると、米カジノ運営大手、ラスベガス・サンズCEOのシェルドン・アデルソン氏は、米朝関係が進展したら、北朝鮮にカジノを開く考えがあることを明らかにしている。「ラスベガス・サンズ」グループ創設者、CEOであるアデルソン氏はラスベガスとマカオ、シンガポールなどの大型カジノリゾートを運営しているが、「市場拡大を念頭に置いて、事業地を物色中」というのだ。

▲北のカジノ通、権栄録氏(ウィ―ンの北朝鮮大使館の中庭で撮影)

カジノ経営は資本主義経済の最先端を行く娯楽分野だが、北朝鮮にとって決して未知の分野ではない。北幹部にはカジノ歴がある人物が存在するのだ。権栄録氏だ。同氏は既に帰国したが、欧州駐在中は「金星銀行」の経営に関与する一方、夜な夜なウィ―ン市内1区にあるカジノに顔を見せていた。

当方の知人の一人が「カジノで権栄録氏の姿をよく見かけたよ。やり手だ」という。具体的には、かなりの資金を使っているというのだ。だから、ひょっとしたら、不法な資金洗浄(マネーロンダリング)ではないか、と疑われたほどだった。

権栄録氏は故金正日総書記用の高速ボートをイタリア経由で購入しようとして発覚、外国貿易法違反でオーストリアから起訴されたため、慌てて帰国したが、権栄録氏のカジノ歴は20年以上だ。すなわち、北にはカジノ通の人物がちゃんといるという話だ。アデルソン氏が平壌でカジノを開業する場合、権栄録氏が道案内人として登場するかもしれない。

ちなみに、日本では2016年12月、カジノを含む統合型リゾート(IR)推進法案が成立し、今回、IR実施法案の成立に向けて審議中。参議院内閣委員会は10日、IR実施法案の趣旨説明と質疑を行い、実質審議に入った。参議院本会議で今会期最終日の22日には成立する予定だ。

いずれにしても、法整備からカジノ候補地の決定など、まだまだ越えなければならないハードルは控えている。日本第1号のカジノのオープンは2025年前後になるだろうという。なお、「大紀元」によれば、アデルソン氏は日本とブラジルにカジノをオープンしたい意向だという。

参考までに、カジノの先進国スイスでは6月10日、「新賭博法」(BGS)に関する国民投票が実施され、賛成72・9%、反対27・1%で可決されたばかりだ。

今回可決された新賭博法では、スイス国内でオンラインカジノの運営が可能になること。ただスイスに法人を置く企業に限られ、それ以外のギャンブルサイトは全て接続遮断(サイトブロッキング)の対象となる。また、ギャンブルの賞金に対する課税の不均衡が是正される。スイスのカジノは免許制で、ギャンブル依存症対策など運営に厳しい規制が課せられている(「スイスで来月『新賭博法』の国民投票」2018年5月23日参考)。

話を戻す。北朝鮮でカジノが開業されれば、平壌はマカオを凌ぐカジノ王国となるかもしれない。そうなれば、核兵器を開発して米国からにらまれるより、手っ取り早く国家財政を潤すことができる。北のカジノ開業は、前途が分からない上、巨額の財政負担のかかる核開発より、経済的に賢明な道かもしれない。北でカジノが開業されるとなれば、日本から朝総連系のパチンコ経営者が資本参加のために殺到するかもしれない。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2018年7月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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