参入障壁が急速に消滅している!?

2018年07月18日 06:00

近くの1000円カットの店に髪を切りに行くと、いつもの映画好きの人が髪を切ってくれた。
彼からは、前回、iPhoneだけで映画撮影をした監督がいるという話を聴いた。
出演する役者はInstagramで探したそうだ。

「何百万以上もする機材を使って製作していた映画を、iPhoneと少々の機材だけで作れる時代になったのですね~。その上、役者はInstagramで探して連絡を取る訳ですから…」

彼が発した言葉に、
「高価な機材や有名俳優が必要という一種の参入障壁が、今やなくなりつつあるのかもしれませんね~」
と、半ば自分に言い聞かせるように私は呟いた。

トマス・フリードマンも「遅刻してくれて、ありがとう」で、「驚いたな!いまや駐車場係が私の競争相手だ!駐車場係がブログをやっている!彼もコラムニストだ!」(同書より引用)と書いている。

メルマガやブログは、日本でも10年以上前から一般的に行われており、私自身ブログの書籍化によって著書を出版してもらったクチだ。

一時期、携帯小説というのが流行したが、確か携帯小説の著者はプロの小説家ではなかったと記憶している。
コラムも小説も完全に参入障壁がなくなっている。

漫画も優れた素人作品がたくさんあるようだし(これは伝聞だ)、写真に至ってはInstagramで素晴らしい写真を鑑賞することができる。
漫画の世界も写真の世界も、参入障壁はなくなってきているのだろう。

電力会社も地域独占がなくなったし、長らく3社による寡占が続いていた携帯電話の世界も、楽天の格安SIM参入によって競争激化になると予想される。

最後まで参入障壁が残るとしたら、国や地方自治体などの中でも「公共財」に関わる部分だけかもしれない。
つまり、国防、警察、裁判、外交など国家の最低限の要素と、福祉や社会保障等、富の再分配機能あたりになるのだろうか…。
もっとも、それらの機能にしても、民間委託が可能な分野が多々ある。

JRもかつては国鉄だったし、NTTも電電公社だった。
日本郵便が民営化したのは記憶に新しい。
電力もガスも民営化されているのに、どうして水道はいまだに官営なのだろうかと、あちこちの路上で行われている「水道管工事」を見て疑問に思う。
水よりも電気の方がライフラインとして重要だと思うのだが…。

配達されたばかりの日弁連の機関誌「自由と正義」のページをめくると、今月も何十名にもわたる自主退会者が名を連ねていた。
月平均5万円前後の高額な会費を支払えなくなったのだろう。
弁護士業界の参入障壁は、(かつて最難関と言われた)司法試験を合格して勝ち取った弁護士資格ではなく、いつの間にか高額な会費負担に取って代わられてしまったようだ。

説得の戦略 交渉心理学入門 (ディスカヴァー携書)
荘司 雅彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2017-06-22

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年7月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。

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