成果から考える ― 政治家の働き方改革

こんにちは、都議会議員の鈴木邦和です。まもなく私の任期開始から1年になります。「普段何をやっているのか見えない」と云われる議員の仕事について、先月の記事では、過去11ヶ月の業務時間を洗い出し、以下のように仕事を分類してみました。今回は、分類した業務の成果を評価した上で、より良い政治家の働き方を考えてみます。

ちなみに、前回のデータを「一週間のうち何にどのくらい時間を使っているか」に変換すると、下図のようになります。私の場合は、毎週月曜〜木曜昼まで「議会・公務・政策調査」といった配分で、ここまでは確実に本来の議員の業務と云えます。

一方で、地元活動、党務、選挙応援などは、議員報酬の算定根拠には含まれない業務とされています。私のスケジュールで「陳情対応」にカテゴリーされているのは、市民との意見交換会の開催・準備のため、ここだけはギリギリ政務の範囲と認められていますが、その他は基本的に対象外です。

こうして振り返ってみると、私の過去1年間の業務内訳は、決して肯定できるものではありません。議員が日頃取り組んでいる仕事は、本当に有権者のためなのか、それとも党のためなのか、あるいは自分のためなのか、常に自省する必要があります。

次に、政策調査のカテゴリーの中で、勉強会や読書などに費やした「時間」と、そこから生まれた「成果」を詳しく比較してみます。今回は定量的に評価するために、「議会において質疑につながった回数」を成果として、以下のように可視化してみました。

特筆すべきは、書籍文献による政策調査です。費やした時間に対して、大きな成果が出せています。新聞・ネットによる情報収集や、都の職員との意見交換も、一定の成果が出ていますが、書籍文献のパフォーマンスには及びません。今後は、他ソースに掛けている時間を減らした上で、1日1冊は書籍や論文にあたってみます。

一方で、勉強会、視察、資料作成は、議会の質問という観点では、あまり成果を出せていないことが明らかになりました。勉強会や視察は漫然と参加してしまうケースが多いのですが、むしろ議員間の合意形成が目的と位置付けた上で、各会を設計した方が良さそうです。また、資料作成はアウトソーシングの有力候補になります。

私は、都議会で議会改革検討委員会に所属しており、議会改革の重要性については日々痛感してきました。一方で、議会全体のパフォーマンスを上げるためには、議員1人1人の「働き方改革」もまた同じくらい重要だと考えるようになりました。今後、まずは私個人としての試行錯誤を続けて、より生産性の高い議員の働き方を見つけていきたいと考えています。


編集部より:この記事は東京都議会議員、鈴木邦和氏(武蔵野市選出、都民ファーストの会)のブログ2018年7月20日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は鈴木氏のブログをご覧ください。