ユニオン・スクエアを代表する名店、28年の歴史に幕

2018年08月10日 06:00

Let’s meet up at Coffee Shop!

なんて言われたら、大抵はどこのコーヒー店で会うのか確認してみたくなるでしょう。ニューヨーカーは、違います。OKと二つ返事で、待ち合わせの時間になればユニオン・スクエアの西側に建つ、この店にやって来るはずです。

その店こそ、コーヒー・ショップ。はい、これが店名なんです。

1990年創業のこちら、ニューヨークらしい何でもありの無国籍料理を提供するレストラン・バーとでも言いましょうか。朝8時から夜中までオープンのこちら、エッグ・ベネディクトからハンバーガーやステーキはもちろん、リゾット、カラマリ、果てにはキューバ風牛肉とパプリカのトマト煮(ropa vieja)、ブラジル風黒インゲン豆と牛豚肉の煮込み料理(feijoada)まで揃います。

一体、何料理なのかひと目で分からなかったり?
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(出所:Coffee Shop
コーヒー・ショップが長くニューヨーカーから愛された理由は、提供する料理だけではありません。複数の地下鉄路線が交わるポイントであり、ユニオン・スクエアに隣接した好立地だけでもない。時代の最先端を行くニューヨーカーの心を掴んだ理由は、まことしやかに流れた噂が一つの決め手でした。

オーナーが”ウィルへルミナ・モデル”出身の男性2人と女性1人の3人とあって、1990年オープン当初からセレブが通う店として名を馳せていたのです。日本の皆様がお馴染みのドラマ”Sex And The City”でも度々登場していたので、ご記憶の方もいらっしゃるかと。2007年に衛生上の問題で一時閉鎖した折には、リオープン時にアカデミー女優のナオミ・ワッツが当時妊娠中だったにも関わらず姿を現し、話題を振り撒いたものです。その他、ウェイトレスやウェイターはモデルや女優、アーティストの卵でなければならないとの通説が流れ、その噂に違わずR&B歌手のマックスウェルが皿洗いとして働いた過去も。そんなユニオン・スクエアのシンボルといっても過言ではない同店も、時代の流れには逆らえませんでした。10月をもって、28年にわたる歴史に幕を閉じます

店仕舞いの理由は、賃料です。

テラス席は、人間ウォッチングに最高の場所でした。
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(出所:Coffee Shop

ユニオン・スクエア周辺だけでなく、NY市内では賃料と賃金の上昇に耐え切れず、閉店・移転を余儀なくされたレストランが相次いでいます。東京は六本木にも店を構えるユニオン・スクエア・カフェは創業30年を経て、2015年に店名を冠した場所から約4ブロック先、パークアベニュー沿いの19丁目に引っ越しました。アジア系ヌードル店だったリパブリックは、2017年末にシャッターを下ろしてしまいました。周辺で何とか切り盛りしているブルー・ウォーター・グリルも賃料に青息吐息の状態で、いつクローズしてもおかしくないと言います。何せ賃料や給与などのコストが年間200万ドルですからね。

これまで、ユニオン・スクエアでは大型レコード店のバージン・メガストアが銀行ATMに取って代わり、電気店のサーキットシティがノードストロームのラック、ベストバイ、ドラッグストアのデュアン・リードに姿を変えるなど、それぞれの栄枯盛衰を示してきました。そんなユニオン・スクエア周辺では最近、シェアオフィスのウィワークスが進出してきています。10年後のユニオン・スクエアがどんな姿をしているのか、楽しみと言い切れないのは筆者だけではないでしょう。

(カバー写真:Coffee Shop


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年8月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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