ロシアは米国債保有国のランク外に

米国の財務省が公表した米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、ついにランキング(31位以内)からロシアが姿を消していた。

「MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES」
http://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

これによると6月の国別の米国債保有高のトップは引き続き中国となっていた。6月時点の中国の米国債保有額は1兆1787億ドルとなった。

今回も2位となっていた日本による3月の米国債保有額は1兆304億ドルとなっていたが、これは2011年10月以来の低水準となるようである。

さて問題のロシアによる米国債保有高であるが、3月の961億ドルから4月の487億ドル、5月には149億ドルに急減していたが、今回はランキング(31位以内)そのものから姿を消していた。

ここに来て大量売却に踏み切った背景には米国が打ち出した厳しい追加制裁とされる。ロシアによる米国債の大量売却は制裁強化で米国債の取引が制限されるのを警戒し、打撃を防ぐ狙いとみられる(7月19日日本経済新聞)。

ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は米国債売却の狙いについて、外貨準備を多角化する政策の一環と発言していたようだが、政治的な要因が大きいように思われる。

米国が最も圧力をかけている中国に関しては、保有する米国債を売却するとの観測が出ていたものの、いまのところそのような動きはない。しかし、ロシアのようにいずれ中国が保有する米国債を売却してくる可能性もありうるか。

単位、10億ドル、()内は前年比増減

トップ10
中国(China, Mainland)1178.7
日本(Japan)1030.4
ブラジル(Brazil)300.1
アイルランド(Ireland)299.6
英国(United Kingdom)274.0
スイス(Switzerland)236.5
ルクセンブルク(Luxembourg)219.7
ケイマン諸島(Cayman Islands)197.2
香港(Hong Kong)196.1
サウジアラビア(Saudi Arabia)164.9


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年8月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。