バロンズ:米株市場、世界中の投資家から愛される理由

2018年08月20日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーに”ブロックチェーン革命”を取り上げる。鉱業大手BHPビリトンが2016年にサプライチェーン管理にブロックチェーンを活用すると発表したが、今月に入り同社取締役はビジネスに活用できるほど成熟していないと語った。IT関連調査会社ガーナーによれば、3,160社の最高情報責任者のうち、ブロックチェーンを有効活用していると回答したのは1%に過ぎない。

市場では既にブロックチェーン銘柄として上場投資信託(ETF)も存在し、例えばAmplify Transformational Data Sharing (BLOK)、Reality Shares Nasdaq NexGen Economy (BLCN)、 Innovation Shares NextGen Protocol (KOIN)などが挙げられるが、組み入れられている銘柄はほとんど収益を上げていない。

しかし、インターネットがコミュニケーションの手法を変革したように、ブロックチェーンが世界を変えるのは時間の問題だ。IBMが1,500人を超えるスタッフを擁しブロックチェーンの実用化に取り組むのも、そう捉えているためだろう。では、未来のフェイスブックはどこなのか。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが注目する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォールストリート、今週は米株の強さに迫る。夏休みのランダル・フォーサイス氏に代わって、ヴィト・ラカネリ氏が執筆した。抄訳は、以下の通り。

なぜ米株が世界で資金を集めているのか—Why U.S. Stocks Rule the World.

英語に、”splat(バシャッ)”という擬音語がある。例えば、仮想通貨市場にはこの言葉がピッタリだろう。仮想通貨は2017年末から70%も急落し、ビットコインは2017年12月半ばにつけた過去最高値の1万8,675ドルから6,463ドルまで落ち込んだ。時価総額が2,000億ドルから1,100億ドル台まで下落しており、まさに”splat!”といった感がある。

仮想通貨に懐疑的な見方をしていた者にとっては、勝利したように感じているかもしれない。確かに、ビットコインバブルは弾けた。しかし、ウォール・ストリートはビットコインのETF組成に動いている。米証券取引委員会(SEC)はビットコインETF組成の判断を9月末間で持ち越したが、仮に承認すれば再び上昇に転じるだろう。もちろん却下すれば、ビットコインを始めとしたその他の仮想通貨が軒並み一段安となりうるが。

不幸にも、仮想通貨の潜在力は次の弱気相場局面か、景気後退の時期に認められるかもしれない。仮に金融市場で深刻な緊張が発生し、ビットコインなど仮想通貨に資金が流入すれば、それは価値を保存するといった役割を担うことになる。

nocoiner(仮想通貨を詐欺と批判し投資しなかった弁護士やエコノミストなどを指す)は、ミニ・ストレス・テストを通過できなかったと議論する。トルコ・リラ急落に端を発した相場急落は、仮想通貨が安全資産でないことを証明した。金先物も下落したが、トルコでは買われている。ドルに至っては、世界中から資金が集まる状況だ。仮想通貨が投機的でなくなる時に仮想通貨を取得することは困難になるだろうが、一体どれが投機的なくなるのかは、まだ誰にも分からない。

ビットコイン、年初来の推移。

bitcoin
(作成:My Big Apple NY)

米国以外の株式市場も、まさに”splat!”の状態で、今年の夏に大幅安を迎えた。ドルベースでMSCI米国インデックスが年初来で6%上昇する半面、MSCIワールド・インデックス(米国を除く)は5%近くも下落している。ドル高が一因とされるが、そればかりとは言えない。自国通貨建てでも、日本、中国、ドイツは全て米国の株式市場のパフォーマンスを下回る。例えばドイツはドル建てで10%下落しているが、ユーロ建てでも5%安だ。

米株が他国の株式市場より力強いリターンを達成しているのは、米経済のファンダメタルズや企業決算が好感されているためだ。しかし、これらは新しい材料ではない。むしろU.S.トラストのジョセフ・キンラン氏いわく、S&P500構成企業の売上のうち62%を米国が占め、中国が5.5%過ぎないように、海外のエクスポージャーが比較的低いことが影響しているのだろう。

例えばユーロストックスと独DAX指数の場合。両者の構成企業のうち売上に占める割合が最も高いのは米国で、それぞれ19%と22%を占める。独DAX指数の構成銘柄を取得したところで、ゲーテの国のエクスポージャーを手にしたわけではない。逆にMSCIチャイナ・インデックスの構成企業は売上の92%を中国国内に依存し、米国は2.2%に過ぎない。ただキンラン氏によれば、中国の米国への結び付きは中間財と最終部品の組み立てにあり、トランプ政権による追加関税措置の影響が中国株に現れていると言えよう。

これまで、投資と言えばダイバーシティが好リターンのカギとされてきた。しかし、キンラン氏は「下半期の世界経済は上半期以下にとどまり、世界経済拡大の同期生は失われる」と見込む。過去20年間を振り返ると、米株のリターンは平均で年間7%の上昇にとどまり、過去平均の10%を下回る。一方でエマージング株式市場は1999年以降、ドル建てで255%高を遂げており、米国の2倍以上のパフォーマンスを達成してきた。

ただし、逆のパターンが生じかねない。ベスポーク・インベストメント・グループによれば、1984年以降、MSCI米国インデックスの比率がMSCIワールド・インデックス(米国を除く)に対し過去最高を更新する時、3ヵ月後こそ米株のパフォーマンスが下回るものの、1年後には再び優位性を発揮するという。ただし、貿易戦争が深化すれば、米国だろうが勝者とはなり得ないだろう。


SECは、シカゴ・オプション取引所(CBOE)とヴァン・エックのほか、ウィンクルボス兄弟率いるジェミニ取引所によるビットコインETF上場の判断を先送りしています。6月に価格操作問題で捜査のメスが入ったばかりですから、個人投資家がアクセスしやすいETFの上場にSECが及び腰になってもおかしくありません。他ならぬ仮想通貨市場関係者も「年内は難しく、早くて2019年2月頃ではないか」と慎重です。CBOEやジェミニ取引所のほか、ニューヨーク証券取引所も虎視眈々とビットコインETFを上場する世界初の取引所の称号を得るべく動いているとはいえ、まずは価格操作問題の解明が先決でしょう。

(カバー写真:gabriele82/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年8月19日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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