楽しい投資が豊かな投資になる

2018年08月21日 11:30

数年以内に少し豪華な旅行をしてみたいと思って、その目標のために資産形成を始めるとして、運用内容について、いろいろと自分の頭で考えて、多少のリスクをとることは面白く、楽しいことではないか。うまくいけば、より豪華な旅行ができる、あるいは予定よりも早く旅行に行ける、そうした不確実性を生活の喜びのなかにとり込むことこそ、資産形成におけるリスクをとることの本来の意味だろう。

旅行を予定していた時期に資産価格が下落していても、そこで資産を売却して無理に現金化する必要はない。むしろ、旅行を延期して資産形成を継続した結果として、資産価格が大きく回復して予定よりも豪華な旅行ができる可能性をとるべきであろう。こうしたスリリングな体験、娯楽の本質である多少の不安と期待の混淆の体験を通じて、リスクや長期的視点等の真の意味が少しずつ理解されていくのだと思われる。

投資の学習において、成功体験は重要なのだが、成功というのは、必ずしも投資成果が高いということではなかろう。むしろ、自分の意図したことと実際の結果との差について、納得できることが成功ということの意味ではないか。小さな体験を繰り返すなかで、当然に、意図と結果の差を縮めようとする努力がなされ、それが学習意欲につながるのではないか。

学習が継続できるのは、そこに喜びや楽しみがあるからに違いない。投資教育を有効に機能させるためには、学習意欲の前提となる楽しさや喜びなどの肯定的要素が不可欠なのである。そして、体験を通じて学習するうちに、資産形成への目的に対する愛着から、資産形成そのものに対する愛着へと変わっていくのではないか。

自分の努力で形成された資産への愛着、というよりも自分の努力への愛着が生じることで、予定された使途に全額を使うことがなくなり、結果的に、長期的に留保されていく余剰が生じるであろう。その剰余が蓄積されていくことにより、本来の資産形成の目的として、老後の豊かな生活が認識されてくるのではないか。

加えて、投資の経験を積むなかで、年齢も高くなっていって、老後が具体的にイメージしやすくなる、しかも、子供の独立等により、資産形成へ大きな金額を振り向けることのできる家計の余裕も生じている、そういうふうに、客観条件が揃ってはじめて、老後生活資金形成が現実感のある生活の課題になってくるのだと思われる。

 

 

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
HC公式ウェブサイト:fromHC
twitter:nmorimoto_HC
facebook:森本紀行

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