世襲議員の是非を論ず

2018年08月23日 17:30

来月20日投開票の自民党総裁選を巡っては、様々な観点から色々な指摘が行われています。直近では、世襲という切り口での論も見られました。それは例えば『総裁選で一騎打ち!安倍首相と石破氏を徹底比較 同じ世襲も「陽」と「陰」』(18年08月20日) あるいは「総裁候補も派閥会長も皆世襲の異様」(18年08月15日)といった記事を指します。6年前争われた自民総裁選も5候補全てが、世襲政治家でありました。

また、此の15年程度の間に同党が輩出した内閣総理大臣を見ても、小泉純一郎さんは三代目、福田康夫さんは父親の赳夫さんが総理になりましたし、麻生太郎さんは祖父が吉田茂さんです。そして、現総理の安倍晋三さんは通産・外務・農林の各大臣や自民党の要職を歴任した晋太郎さんから始まって二代目で、元総理の岸信介さんも親戚関係になります。

更に、「昨年10月の衆院選の小選挙区当選者のうち、自民党は世襲議員が33%(218人中72人)を占め、立憲民主党の10%(20人中2人)などを大きく上回った」わけですが、こうした類の現況を如何に捉えるべきでしょうか。

先ず実際問題として、現在も選挙で勝つ為には昔から言われているような「ジバン、カンバン、カバン」が必要であって、選挙には多額のお金が掛かり、様々な良い意見・政策を持っていても直ぐには受け入れられないといった現実が常にあります。連綿と続く既存の仕組みを抜本的に変革し得る良策が見当たらない以上、親の七光りが効き易い政治の世界で固定化した世襲は、残念ながら今後も中々変わって行かないと思います。

世襲というのは、政界や財界に限らず色々な領域で往々にして見られます。例えば、医師の世界も世襲比率が非常に高いのですが、その利点を挙げようとして挙げられなくはありません。そもそも、医師である父の姿を毎日見ていたら、その子が「自分もそうなりたい」と思っても不思議ではないでしょう。之は、政治家である父の姿を毎日見ていたら、ということも然りです。また、医学部に入り医者になる事や連続当選を重ね行く事は極めて難く、ある意味大変なリスクを掛けてそこに臨んでいるわけでしょう。

孟子が「天授け、人与う」と言っているように、その国を先導して行く代議士というのは、それなりの能力・手腕・人格を有していなければなりません。「天授け」とは、人物の出自を言い、之は天が定めたもうた宿命であります。「人与う」とは、そこに徳や人間的魅力で人物を集め、同時に能力や手腕で国を引っ張って行けるといったことです。単に「ジバン、カンバン、カバン」を引き継ぎ国会議員になれたとしても、人望や能力・手腕がなければ総スカンを食らい早晩国民に見放されます。ですから私は、政治の世界での世襲という難題は必要悪と迄行かず、必ずしも否定するものでもないと思っています。

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