顧客満足に反してこその金融

2018年08月28日 11:30

カジノ解禁は賛否両論が拮抗する問題である。賛成論からすれば、カジノを含む統合型リゾート(IR)施設を開発することは、海外からの来訪者を増やすなど、大きな消費需要を生むことから、成長戦略の一つの柱になるということであるが、反対論は、ギャンブル依存症等、社会的弊害を問題にする。

そもそも、ギャンブルは、ギャンブル依存症に陥る人、大金を失う人がでてしまうように、顧客の利益に反する効果を生む。故に、犯罪なのである。その立派な犯罪でも、公営ギャンブルのように、地方自治体の資金調達という社会的利益があれば、特別な法律を作って犯罪でなくすことができる。同じ理屈で、カジノ合法化が検討されるのである。

ギャンブルは著しく顧客満足が高い、これがギャンブル合法化の前提である。だからこそ、強い需要があって、その強い需要を利用することで、社会的利益の実現を図っているのである。似たようなことは煙草や酒にもあるわけで、健康への影響を考えると、顧客の真の利益に反する面を否定できないが、そこには顧客満足に基づく極めて強い需要があって、故に、高税率を課しても売れる、売れるから税収になるという関係が働いているわけである。

もっといえば、詐欺と詐欺紛いの区別は極めて困難であって、例えば、実質的価値を著しく超える価格で羽毛布団が販売されていることについて、詐欺ではないのかなと疑われても、購入した当人が高額であるが故に高品質だと信じていれば、どうしようもない。こういう怪しい商法も、高い顧客満足を実現しているからこそ成立しているのである。

更にいえば、服飾、飲食、娯楽など、現代社会の消費を支える領域においては、衣食住の実質的な機能をはるかに超えたところに、また必需をはるかに上回ったところに顧客満足が形成されているのであって、あからさまにいって、無駄な過剰消費という病理こそ、経済成長の推進力になっているのである。

しかし、その病める現代社会には、顧客満足に反してでも、必需に基づく真の顧客の利益を考えなくてはならない領域が厳としてある。それが金融をはじめとした医療、教育等の規制業なのである。

 

 

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
HC公式ウェブサイト:fromHC
twitter:nmorimoto_HC
facebook:森本紀行

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