熱中症事故は絶対に学校で発生させてはいけない

2018年08月27日 16:30

猛暑が続きます。総務省消防庁発表によりますと、2018年8月21日、同年8月13日から8月19日の1週間における熱中症による救急搬送人数が3669人(速報値)、今年の累計人数は8万2014人(速報値)であり㋃~8月までの死亡者累計は144人という前代未聞の数字となっております。

7月17日には、愛知県豊田市立梅坪小学校1年生男児が、虫捕りの校外学習のため、約1キロ離れた和公園の往復の後、熱中症で亡くなるという痛ましい事故も発生しております。最高35度以上が予想される「高温注意情報」が出ていたにも関わらず中止しなかった籔下隆校長は「これまで校外学習で大きな問題は起きておらず、中止する判断はできなかった」とし、遺族に謝罪ましたが、失われた命は戻ってこないことは言うまでもありません。児童は途中で「疲れた」と訴えていたそうです。

東京都でも小金井市立小学校において水筒を忘れた児童に水分を取らせず市教委が「命に関わる可能性もあった」とし当該20歳代男性教諭に注意をしていることが8月15日に判明しています。この男性教諭は別の児童に「死ね」など発言し不適切な言動を繰り返していたそうです。暴言は明確な体罰ガイドライン違反です。教育のプロの教員もいて、看護師・保健師の資格も持つ養護教諭がいながらなぜまたして児童人権が軽んじられ、教育現場で命が奪われるような事態が繰り返されるのか、私は断固として納得できません。ゆえに、常に東京都教育委員会を質しております。

熱中症から子どもたちを守れるか?(写真AC:編集部)

特別支援学校での重症熱中症事故

上田はかねてより、ブラック部活の根絶を求めてきました。(過去blog「体育・部活で命と健康が奪われぬ学校現場に!!」)学校現場・部活動、スポーツの世界では「努力・根性・上下関係」という非科学的な価値観が未だ蔓延しているとしか思えない大相撲、レスリング、アメフト、柔道の昨今の事故・事件に枚挙にいとまがありません。昨年の8月、都立特別支援学校高等部の部活動において、生徒が熱中症による脱水症状となり、意識不明となる重大事故が発生したことは、記憶に新しいと思います。風化をさせずに都内すべての学校現場における再発防止を願い上田は文書質問にて疑義を質しております。一年を経て、改めて整理をして皆様と共有したいと思います。

ペナルティを課して事故が発生

当該事故は、2017年8月23日、高等部第1学年の男子生徒が、部活の練習で、外気温が32度の中、校舎外周を走っている際に発生。当日、顧問教員は、外気温が高くなっていることを認識していたにもかかわらず、当該生徒に、課題を達成できなかったことに対するペナルティとして校舎の外周を22周走るよう指示しました。当該生徒は、21周走ったところで倒れ、意識が混濁していたため、学校は、救急車を要請しました。搬送先の病院で、当該生徒は、熱中症と診断されました。その後、都教育委員会と校長は、当該生徒の保護者に謝罪、学校は、臨時保護者会を開催し、在校生の保護者に対して事故概要と部活動指導の改善策等を説明しました。

救急車到着まで30分以上要す

私が気になったのが、当該生徒が倒れてから救急車が来るまで時間を要したことで、その点も確認しましたところ以下がわかりました。

*****

〇午後4時頃
教員が、倒れている当該生徒を発見。この教員は、当該生徒の後頭部に擦過傷があったことから、脳挫傷等があることも想定し、その場から動かすことなく、直ちに養護教諭へ連絡。

〇午後4時7分頃
副校長、養護教諭、看護師は、頭部の応急手当が必要と判断し、当該生徒を保健室へ搬送。

〇午後4時10分頃
養護教諭は、応急手当を行う。その後、学校で保管している健康カードで、当該生徒に既往症がないことを確認し、熱中症の可能性が濃厚と考える。

〇午後4時15分頃
副校長は、救急車を要請するとともに、休暇中の校長に事故発生の報告をしました。校長は、保護者への連絡や事実関係の確認等について、副校長に指示。

〇午後4時32分頃 救急車が学校に到着。

*****

当該生徒が倒れてすぐに、対処したわけではなく「倒れている当該生徒を発見」ということろが、私が懸念した点です。倒れてから何分経ったかは不明で、救急車が来るまで32分かかっており、少なくとも倒れてから40分以上はかかっていると予想されます。 救命曲線では20分間が生死を分けるとされており、致命的なことになりかねない深刻な事態でした。熱中症以前に、そもそもペナルティと称して炎天下に障がいを抱えている生徒を22周もさせる「指導」は本当に教育なのか?「しごき」に近い「体罰」ではなかったかと指摘をさせて頂きました。

熱中症対策以前の「体罰」の問題

学校事故事例検索データベースでは、て2005年度~2016年度に給付した、総数6,549件の死亡・障害事例が検索できます。どれひとつとっても胸が痛み、なんで学校現場で?!と胸をかきむしられるのです。

行き過ぎた指導で子どもが亡くなる「指導死」という言葉もあります。当初、東京都教育委員会は「はい!熱中症対策を徹底させます!」との答弁に終始しましたが、これは熱中症対策以前の話であり「ペナルティ」と称した「しごき」にも近い部活指導が適正であったか?の見返る謙虚な姿勢が不可欠なのです。

多くの議員はウッカリそうした答弁に騙されてしまいますし、一見正論ですから気づかないで受け止めてしまうことも仕方ないかもしれませんが、たくさんの児童・生徒、保護者の悩みは叫びを聞いてきたお姐は、そこは冷静に子どもの命を守るっどころか脅かしてどうすんの!?と本質論に斬り込んでいきました。

都教育委員会は「速やかに関係教員・生徒から聴取を行い、事故の主な原因は、熱中症予防及び体罰に関する理解の不足や、生徒一人一人の能力・技能を踏まえた指導の不十分さにあったと把握しました。」という答弁となり「体罰」について論究するにいたりました。

その後、この件を踏まえ、全都立学校に再発防止に向けた取組を徹底するための通知を発出するとともに、校長連絡会等において周知。さらに、全公立中・高等学校及び特別支援学校の部活動の責任者を対象に研修会を実施し、事例に基づいて、適切な指導法や事故の未然防止に向けた具体的な取組等について指導・助言することにより、学校における再発防止策の共有を図ってます。

適切な指導計画の作成、安全を最優先する指導の在り方、事故発生時の対応等、具体的な方策をまとめたガイドラインを2018年4月に作成、都内全公立中・高等学校及び特別支援学校に配布することにより、事故防止に向けた取組の徹底を実施。

当該教員に懲戒処分下る

そして、体罰に関して、関与した顧問教員に対する東京都教育委員会による処分が、7月20日に発令されました。部活で「ペナルティ」を与えた重大事故に関与した二人の顧問教員にそれぞれに停職1月の処分が下され、調査の過程で、バスケットボール部の別の顧問教員が別の体罰を行って(!!)いたことが判明し、この顧問教員に対しては戒告処分が下されました。

昨年の事故発生直後、全部活動の点検を行い、それまで、各運動部で行われていた、「例えば「ミスをすると腕立て伏せ5回」などといったペナルティを課す練習は、全て排除」とのことですが…当たり前のことです!障がいを抱える生徒の通う21世紀の特別支援学校にて、ついこの前までこんなことが行われていたことが信じがたいことですが、議会人として事故発生後から疑義を晴らし厳しく指摘し、処分に結び付けられたことは、江戸川区内小学校給食強要体罰事件に続きほっと安堵しております。

当該学校では、運動部が5部、文化部が6部、合計11の部活動があり、在校生徒全員がいずれかの部活動に所属し生徒による学校評価アンケートでは、約9割の生徒が、部活動により自らが成長していると回答していました。満足度が高いことが読み取れます。肢体不自由教育部門では、スポーツ競技部で、ボッチャやハンドサッカー、また、陸上競技に取り組み、部活動を通して、生徒のスポーツへの関心が高まるとともに、各大会での他の特別支援学校の生徒との交流促進にも取り組んでいます。

当該学校は、スポーツ事業には抜きんでて取り組み、障がいを抱え進学に夢を見る受験生憧れの学校でもあります。その期待に応えるために「ペナルティ」を与えて、生徒は理不尽に耐えて命が危ぶまれるまで追い詰めしごくのか、スポーツを楽しむ心を育み楽しい青春の思い出をみんなで創るのか、私は後者で合ってほしいと切に願っております。「体罰」「しごき」上下関係体質は日本のスポーツ界全体の問題でもあります。

まず上田は都議会議員として教、員が都職員であります公立小中学校、都立高校における、児童生徒、教師誰にとっても安心安全で居心地の良い、熱中症事故、その他重篤事故が発生する余地のない、脱ブラック部活を都で実現!来年に迫る統一地本選挙においては地域政党自由を守る会は、「体罰根絶」「教育委員会改革」を教育政策の目玉にし、日本全体に好影響を与えていきたいと構想しております。

お姐総括!

先月は、女性参政権100年を記念し英国ロンドンへ議会制民主主義、ケアラー(親族等無償で介護、医療、障がい児・者のケアをする人を指す)対策、DVの取り組みなどの視察へ行きました。運動神経があってもなくてもアスリートでも単なるスポーツが好きなだけの一般人も、英国では誰でもが無理なく楽しく運動をする取り組み「スポーツイングランド」があります。日本の武道には敬意を持ちますが「道」=「道徳教育」と「スポーツ」は切り分けないとならないと考えます。

命や人権を奪い心を傷つける「体育的運動」
から
心身を健やかに楽しく鍛えるスポーツニッポンへ!


編集部より:この記事は東京都議会議員、上田令子氏(江戸川区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年8月27日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は上田氏の公式ブログ「お姐が行く!」をご覧ください。

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上田 令子
東京都議会議員(江戸川区選出)、地域政党「自由を守る会」代表、地域政党サミット(全国地域政党連絡協議会)副代表

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