韓国も超少子化に悩んでいる、本当の少子化対策とは --- 荻野 義彦

2018年08月29日 06:00

本誌8月28日号に長谷川良氏の『危険水域に入った韓国の「少子化」』という記事があり、興味深く読みました。というのも日本でも「少子高齢化」が将来にわたっての大問題とされていながら、日本の隣国の韓国での子ども事情については殆どと言っていいくらい報道されず知られていないからです。

記事によると先進国の中で韓国は合計特殊出生率が1.17で最低だという。少子化が進む日本はそれでも韓国を上回る1.44。韓国の人口減が急速に進んでいると思われます。韓国では「超少子化国なのです。

釜山大学のアン・ギョンシュク教授の「韓国の子ども観の歴史的考察」を読みました。韓国では古代神話で「子供は未完成の存在ではなく、宇宙的存在」とされていたそうです。その後儒教や仏教の影響を受けて、近代には「子供は親の所有物でも、社会の所有物でもなく、子ども自身の存在であり、自由の存在である」とされていました。しかし、近代教育が普及するとともに勉強する存在、産業社会が要求する人材になることを求められるようになったという。

日本と似ているところも違うところもある。日本は古代は「子宝」という点から授かったものという思想がありました。その後やはり韓国と同じく仏教と儒教の影響で、立派に成長し親に孝行する子がいい子とされていたようです。

明治維新後は「富国強兵」「殖産興業」のスローガンのもと、産業や兵力として役立つ人材が教育の役割となりました。その最たるものは戦争中の軍国教育であり国のために命を差し出すことを求められた。宝を戦争の駒にしてしまった。

実は仏教では「親子一体の成仏」を説く。親は子を慈しみ、子は親の成仏を願う。そこに人間としての崇高な姿があるとする。「子は過去世からの縁によって、親を選んで生まれてくる」「一切衆生の成仏を実現するために生まれてくる。それを菩薩という」と。子は菩薩なのです。

論が飛躍してしまいましたが、言わんとするところは今議論されている少子化対策は「経済のため」「将来の高齢者の年金確保のため」と言った経済的動機からの議論が殆ど。私はそのような表面的な議論では解決しないと思う。

子どもを育てやすい社会、子どもを持つ喜びを持てる社会、子どもが大切にされる社会造りが大事。そのうえで人間存在の意味、子どもの意味を哲学的に掘り下げた上でなければならないと思います。たとえ、少子化が止まらなくても「少数精鋭」で一人の貴重な命、一人一人の子どもを最大に大切に教育することが真の解決策だとも思うのです。つまり一人の子が10人にも100人にも相当する力を付ければ済むのではないでしょうか。

荻野 義彦
元小学校教師

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