教育業界のバズワード「アクティブラーニング」とはなにか

2018年09月02日 11:30

教育業界では、さまざまなバズワードが出てきました。これは、IT業界のベンダーがやれAIだ、やれIoTだ、やれビッグデータだと言って顧客のみなさんを時代に取り残されまいと焦らせているように、文科省も、保護者や世論を煽りつづけてきました。

それが現在は「アクティブ・ラーニング」というわけです。「アクティブ・ラーニング」という言葉は聞いたことがない人も、もしかするといるかもしれません。なんせ、教育業界の内輪話ですから。しかし、「ゆとり教育」はマスコミの卓抜なネーミングで、人口に膾炙したと思います。それ以外に、「生きる力」とか「言語活動」なんてものもありました。その新たな切り口が「アクティブ・ラーニング」です。

ゆるふわすぎるアクティブ・ラーニング

ビジネス界のバスワードと多少ちがうのは、コンセプト自体は重要ですが、ビジネス界のものよりもさらに広い範囲を意味するかなりゆるゆるふわふわしたもので、文句のつけようがないということです。だから、必然的に、現場の教員もなにをやっていいのか今ひとつ判然としていないというとことがあります。

「アクティブ・ラーニング」は、本名は「主体的対話的で深い学び」と言います。これはが「アクティブ・ラーニング」がすでに商標登録されていたから、急遽、「主体的対話的で深い学び」というまどろっこしい言いかえが行われたようです。この時点で、迷走感が満載ですね。

アクティブ・ラーニングとはなにか

「アクティブ・ラーニング」とは、学習者が主体となって能動的に学習活動を行う学習方法です。

もともとの「アクティブ・ラーニング」は、80年代くらいにアメリカの高等教育改革の中で普及していった教育法の総称だそうです。そしてその主眼は「学習者が主体的に学ぶ姿勢を引き出す」ことを目的としたものです。つまり「ゆとり教育」の焼き直しですね。本家アメリカでは、アメリカ版「ゆとり教育」は失敗だったととうの昔に総括されているようですが。

アクティブ・ラーニングするといいことはあるの?

「アクティブ・ラーニング」の目的は、主体的で能動的な姿勢を引き出すことによって、最終的に学習者の「資質と能力」を育成し、学ぶ教科や課題の目標を達成することなのです。ちなみに「資質・能力」「コンピテンシー」も教育業界のバズワードの亜種です。

けれども、教員が「アクティブ・ラーニング」をすると、「登場人物の(道徳的に正しい)心情を話し合おう」「公式を「発見」しよう」「かけ算の順番を考えよう」「みんなでやってはいけないことを決めよう」「順番に当番をまもるにはどうしたらいいだろう」「気持ちのよいあいさつをするにはどうしよう」「話を聞く時は、発表する人の目を見るのがよいのではないか」など、児童生徒に禁止事項や徳育の項目を作る話合いばかりになってしまい、せっかくの「アクティブ・ラーニング」も、なんだか「トホホ」なかんじになってしまいます。

けっきょく、指導するのが公立学校の教員なので、規律第一の話し合い「ごっこ」になってしまいますね。

方向性が間違っているうえに、やっている教員もなにを目指していいのかわかっていないのです。

一方、知識を教えることは「教え込み授業」と学校現場で蔑まれています。精密機械やIT、バイオの世界のように、ビジネスモデルはますます知財・知識重視の時代なのに、学校(文科省)は勇ましく世界の趨勢に逆張りし、今日も挑戦を続けているのです。

中沢 良平(元小学校教諭)

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