己に克つ

先々月25日フェイスブックに投稿した『努力できる人』に対して、齊藤大輔様より下記コメントを頂きましたので、本ブログにて私が思うところを簡潔に申し上げたいと思います。

【私などは何につけても努力を続けていくことが難しいのですが、それこそ徳も足らず、習慣にする事が難しく思います。自分に負けてしまいます。努力を続けるには、やはり目標が大事でしょうか?また、自分に負けぬ心を持つことはどのような毎日を過ごせばいいのでしょうか?(中略)もし万が一お時間ある時があれば、何かの折にでもご教示頂ければ幸いです。】

自らに打ち克つ精神、所謂「克己心」は何をするにも一番大事だと思います。之は、プラトンが「勝つは己(おのれ)に克つより大なるはなし」と言うまでもなく、ある意味非常に大変なことです。しかし、やり続けて行かなければ、最終的に自分がもう一段上に行くのは難しくなるでしょう。

自分の様々な欲を抑えるのも克己ですし、自分が不可能だとしていたところを努力により出来るようなるのも克己です。そうして、自制心を働かせ色々な欲望を撥ね除けたり、努力を重ね障壁を乗り越えたりした結果として、より大きな自信が得られるのです。

そして、その自信は次により大きな目標を達成して行く原動力になるものです。自信とは自らに対する信頼であり、その本物を得ようとする中で、一つの強さが出来て行くのだろうと思います。

『論語』の「顔淵第十二の一」に、「己に克ちて礼に復(かえ)るを仁と為す」という有名な孔子のがあります。之は「克己復礼(こっきふくれい)」の元になった言葉で、孔子は「自我を没して私欲に打ち克ち、節度を守って言動の全てを礼に合致させることが仁の道だ」と教えています。

人間その殆どが己に甘く、他人に厳しいものです。悲しいかな之は、一つの性であります。ですから東洋では古来より、克己を重視するのです。克己心がなければ、人間強くはなれません。言うまでもなく仕事においても、そのまま通じます。

克己心とは、修養によって成されると思います。日々努力と研鑽を怠らず、己の欲望を撥ね除けたり障壁を乗り越えたりする生活を積み重ね行く中で、人間というのは強くなるのだと思います。

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