最新自治体別待機児童数ワーストは明石・岡山・世田谷

2018年09月21日 06:00

待機児童数ワーストは明石市、岡山市、世田谷区、江戸川区、西宮市…

今月、2018年4月1日時点の最新の全国の自治体別待機児童数を厚生労働省が発表した。

この最新データを見ると、一連の待機児童問題がクローズアップされて来たこともあり、保育所等の利用定員は2017年度から9万7千人増加し280万人となったほか、保育所等を利用する児童の数こそ前年比68,000人増の261万人になったものの、待機児童数については19,895人と増加傾向の続いた前年比が6,186人の減となった。

今回、最新の2018年度版の自治体別待機児童ランキングを作成してみたところ、最も待機児童が多かったのは、前年度から24人増やして571人となった明石市(兵庫県)だった。

次いで、岡山市(岡山県)の551人、3位は世田谷区(東京都)の486人だった。
ただ、岡山市は298人の減、世田谷区も375人の減となるなど、全体同様に上位の自治体も前年度から待機児童数を減らしている所が目立った。

2018年の待機児童数ワースト10自治体は、4位が江戸川区(東京都)の440人、5位が西宮市(兵庫県)の413人、6位が私も住む市川市(千葉県)の385人、7位が神戸市(兵庫県)の332人、8位が目黒区(東京都)の330人、9位がさいたま市(埼玉県)の315人、10位が沖縄市(沖縄県)の264人と続く。

以下、待機児童数が50人を超える110自治体のランキングについては図表を見てもらいたい。

図表1: 市区町村別待機児童数ランキング ワースト110(2018)とその増減等一覧

待機児童数が100人以上となった市区町村数も前年から16減少して48市区町村となった。一方で待機児童のいる市区町村は、前年から15増加して435市区町村となっている。

減少傾向にある待機児童数だが、その象徴のように最も待機児童数を減らしたのは、450人減の大分市だった。
次いで、375人減の世田谷区、322人減の大田区などがあった。

これだけ減らせる背景にはこれまで待機児童が多かったという現実もあるが、一方で自治体の努力で減少させることに成功した自治体と見ることもできるのではないだろうか。

2018年度の最新データでは、待機児童を100人以上減少させた自治体は紹介した3市区を含め24市区あった。
その中には、未だ待機児童数のワースト10にはいるが、市川市(191人減)、目黒区(287人減)、沖縄市(176人減)なども含まれる。

逆にこうしたトレンドに逆行するように100人以上増加した自治体は、ワーストが、さいたま市の315人増。
以下、神戸市の239人増、国分寺市の110人増の3市だった。

都道府県別待機児童数ワーストは東京都、兵庫県、沖縄県…

図表2: 都道府県別待機児童数(2018・2017)とその増減一覧

もう少し大きな地域性やトレンド等を確認するために都道府県別待機児童数についても見ていきたいと思う。
都道府県の中で最も待機児童が多かったのは、今年も東京都の5,414人だった。

この東京都だけで日本全体の待機児童の27.2%もを占めているのだが、それでも2017年度から比べると3,172人の減、全体に占める割合も5.7Pも下げた。

2位は全体が減少させるトレンドの中、416人の待機児童増となった兵庫県で1,988人、3位は沖縄県が1,870人、4位は埼玉県で1,552人、5位は千葉県で1,392人と並んだ。

待機児童の74%は1・2歳児、対象にあった保育所整備が必要

図表3: 児童数・保育所利用児童数・待機児童数の年齢別割合(2018)

待機児童のデータを見ていると色々とあらためて考えさせられる。

児童数については、少子化のトレンドではあるものの年齢ごとの児童の数はあまり変わらない。
それが保育所利用児童数になると、0歳児は保育所に通わせる割合が少ないため減少し、一方で3歳以上の割合が大きくなり大半を占める。

ところが、待機児童数の年齢割合にすると全体の3/4近い74.2%を1・2歳児が占めることになる。
待機児童問題についても勿論自治体ごとの状況があり、さらに言えば、保育園ごとの状況もある。
ただこうしてデータを見ても明らかに保育施設の対象年齢の設定が明らかにおかしいことが見えてくるのではないだろうか。

待機児童数は年によって異なるが、保育利用率の向上はほぼ一定

図表4: 待機児童数および保育利用率の推移

こうした待機児童問題に関しては、人口減少社会、少子化社会の中で、「ここまで保育園利用者が増えるとは想定できなかった」などと発言する自治体関係者が多くいた。

しかし、少子化なのに保育園を増やしても増やしても待機児童が減らない要因が、保育ニーズの層が年々変化し、保育利用率が増加している事は、データなどを見なくても分かることだ。

こうした保育ニーズの変化に対応した対策が必要だということは、筆者は議員を務めた10年以上前から指摘し続けてきたことだ。

今回、厚労省のデータ公開のタイミングで、これまでのデータなどを見直しながら、過去10年間の推移をグラフにしてみた。
待機児童数については保育園の増設など施設整備等の影響もあり年度によっての増減があるものの、保育利用率の増加については、ほぼ一定の割合で伸び続けていることがよく分かる。

さらにこれを年齢別に見ていくと、とくに1・2歳児の保育利用率がこの10年で全体を下回っていたものがむしろ上回って来ていることがよく分かる。

ただこれについてもほぼ一定の割合で伸びており、数学的に予測を出せば、こうなることはずっと前から分かっていたことである。

こうしたことから見返しても、待機児童問題がどれだけ戦略もなく無計画で放置されてきて、社会問題になって、闇雲に増やされているものの、未だに無戦略に対応されていることが分かる。

今回は、厚生労働省の発表資料をベースに、コラムで分かりやすいようにと単純化した部分だけで書いているが、自治体には各年齢や地域ごとにさらに詳細なデータが蓄積されていることは言うまでもない。

あらためてこれから今後5年後にはどういった状況になるのかシミュレーションしながら、一方で、各自治体でどういった子育てを行なっていく環境にしていくべきなのかを明確にし、しっかりとした戦略を持った待機児童対策を考えてもらう必要がある。

また、こうした自治体の怠慢をもたらした背景には、住民の皆さんの無関心が拍車をかけた可能性は高い。

私自身もそうだが、あらためて自分の住んでいる自治体に対するチェックは、この待機児童問題に限らずしっかりやって行きたいと思わされる。

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高橋 亮平
メルカリ社長室政策企画参事、一般社団法人政治教育センター代表理事、NPO法人Rights代表理事、一般社団法人生徒会活動支援協会理事長

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