セレモニーとしての「名刺交換」はもうやめよう

ダイヤモンドオンラインに「名刺交換の行列に並ぶ人に、決して人脈はできない」という大手IT企業の方の記事を見つけました。

こんなことが書いてありました。

ネットワーキングパーティーのようなイベントに参加すると一番多く見かけるのは、とにかく名刺を渡しまくる人です。日本には名刺交換というビジネスカルチャーが広く深く浸透していて、「何はともあれご挨拶」ということで名刺の交換がうやうやしく行われます。

結論から言えば、名刺交換だけで人脈は全く広がりません。また、名刺に書かれている内容の延長線上の話、つまりは社員数や事業規模、自分が担当している事業内容を一生懸命に語っても、人脈を広げるところにまでは至りません。

写真AC:編集部

私もセミナーや講演会があると、個別に名刺交換をしようとする人にお会いすることがあります。しかし、単に名刺を交換しても、その先には何の展開もありません。交換した名刺も後から見ても、顔と名前が一致しないことが多く、お互いに時間と手間の無駄になってしまいます。

「エレベーターピッチ」という言葉があります。会社の幹部とエレベーターで一緒になった時に、到着までの15秒でプレゼンテーションをして、評価をしてもらうスキルのことです。

ネットワーキングパーティでも講演会の後の名刺交換でも、必要とされるのは単なる名刺の交換ではなく、限られた時間で自分をプレゼンテーションして、次につなげる能力です。

「取り敢えず、名刺交換お願いします」と名刺だけのやり取りをして、それで終わってしまう人は、残念ながらその場限りです。その短い時間で、自分が相手にどんな価値を提供できるかを強烈にアピールする。それくらいの意気込みで名刺交換しなければ、せっかくの名刺が無駄になってしまいます。

大企業のサラリーマンにはそんな「セレモニーとしての名刺交換」の慣習が染みついています。逆に起業した人たちは、どん欲にチャンスを掴もうと限られた時間と機会を仕事につなげるようと自分を売り込むことに必死です。

しかし、名刺交換で大切なのは、セレモニーでもなく、自分勝手な自己アピールでもなく、相手に提供できる価値を簡潔に説明することです。

例えば、講演会で講演者が肩こりだと言っていたら、自分はマッサージが得意だと言えば相手は興味を持つはずです。自分が提供できることではなく、相手が必要としているものをさりげなく提供する。そうすれば、そこからコミュニケーションが生まれる可能性は高まります。

名刺交換を完全否定はしませんが、その名刺を渡す15秒で相手に何を伝えるかを良く考えて、行列に並ぶことをお薦めします。人気講演者であればあるほど、一人一人の顔と名前は憶えていないもの。「その他大勢」から抜け出すには戦略が必要です。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年9月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。