これでスッキリ!「片づけ」の基本は朝のスイッチにある

尾藤 克之

家族の片づけにはいつもストレスを感じてしまう。モノを散らかして片づけない子どもにイライラ、洗濯物を片づけないご主人にイライラ。ついに、わが家では家族の会話や笑顔が消えた。「部屋をキレイに片付けたい」「部屋の模様替えをしたい」と思ってもなかなか進まない。実は片づけが上手くいかない理由が存在する。

今回は、『笑顔と会話が増える家族の片づけルール』(KKベストセラーズ)を紹介したい。著者は江間みはるさん(整理収納アドバイザー)。整理収納アドバイザーとして600件もの訪問実績を持つ江間さんがたどり着いたのは、「片づけのルール」だった。

画像は筆者撮影による

朝に10分。体を動かしてみる

本書には著者の子育て経験がふんだんに活かされている。家族とのコミュニケーションを円滑にするエピソードの一部を紹介したい。

「片づけには『動』と『静』の2種類があります。モノを移動するなど、体を使う『動』と、優先順位や手順を考えるなど、頭を使う『静』の片づけです。1日の始めは『動』の片づけから入るといいでしょう。わたしは、目覚めたら元に戻っていないモノを片づけながら10分間、家中を歩くようにしています。運動にもなり、部屋もすっきりするお薦めのスイッチの入れ方です。」(江間さん)

「ポイントは時間を決めて、目の前にあるモノをとにかく戻すこと。10分間、集中して片づけることに慣れてくると、時間間隔を体が覚えていきますし、短い時間でも、思ったより多くの片づけができるようになっていくものです。以前は時間のかかったトイレ掃除も5分でできるようになりました。出るかどうかわからないヤル気が起こるのを待つより、自分でスイッチを入れてしまいましょう。」(同)

片づけをするとき、なかなかスイッチがはいらないことがある。スイッチの入れかたに決まりはないので、自分にとってやり易い方法を見つけてもらいたい。

「以前ご縁のあったご家庭の朝習慣は『シャワーを5分浴びること』でした。お伺いした時には、ご家族が交代で『あと2分だよ!』などと、声をかけあいながらシャワーを浴びているところで『これはわかりやすいスイッチだな』と感じました。片づけは誰もが毎日行うこと。何かをすれば、必ず片づけもセットで付いてきます。だからこそ、時間を決めてゲーム感覚で終えてしまうのは良い方法だと思います。」(江間さん)

家族で回し読みできる本

江間さんは、慣れとともにスピードがアップし、片づけた達成感を感じることができると解説する。片づけの達成感を感じることは継続するうえで必要かも知れない。

「『昔は家に帰るのが嫌だったけど、今は早く帰って片づけたいんです』。これは、講演に来ていただいた1人暮らしの女性の言葉です。それから毎日、早く帰宅して片づけを続けた彼女の家は、ますますキレイになりました。いつもの手順通りに片づければ良いと分かっているので、あとはやるだけです。『早くきれいな状態にしたい』という気持ちから、片づけはどんどん進みます。そして、片づける時間と回数に比例して手際が良くなっていくので、片づけ自体が早く終わるようになっていくのです。」(江間さん)

『もっと効率良く片づけるために工夫するのが楽しいです』。最近、先ほどの女性に再会した時の彼女の言葉です。『自分は片づけられない女だと思っていたけど、今は少し自信がつきました』。日常の片づけを通して習慣化、効率化を経験した彼女は、多くの成功体験を積み重ねたのでしょう。自信なさげだった初対面時とは別人のようになっていたのです。たかが『片づけ』でも、人は成長し、自信がつくようになるのです。」(同)

片づけが終われば、ストレスフリーな生活を送ることができる。本書は非常に読みやすく実践的な内容といえる。イラストが多いのでお子様も読みながら片づけを学ぶことができるだろう。家族で回し読みをしてもいいかも知れない。

尾藤克之
コラムニスト

新刊情報(11冊目)
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