プーチン大統領発言:思いつき!でも、冗談じゃない!

2018年09月26日 11:30

9/12のロシア・プーチン大統領の発言が日本で大きく報道されています。

「平和条約を結ぼう。年末までに。あらゆる前提条件なしで」
とのことですが、その前段には
「今思いついた!、単純なアイディアだが、まさに今ここで頭に浮かんだ!」
とも言っていて、軽い発言なのか重いのかよくわかりません。
しかし内容は日本側からすれば「ふざけるな!」という内容です。

そもそもこの発言はウラジオストクで開かれていた『第4回東方経済フォーラム』という場で出ましたが、このフォーラム自体、ロシアが外国からの投資を促すためのもので、人を呼んでいながら
「いい加減にしろ」
という感じです。

”あらゆる前提条件なしで平和条約を結ぶ”ということは、北方領土問題を切り分けるということを意味しています。

そもそも日本とロシアの間に平和条約が結ばれていないのは領土問題を抱えているからです。
以前のブログに書きましたが、実質的な終戦で武装解除した日本から無理やり固有の領土を奪ったのが北方領土問題です。

2016/12/19「【日ロ交渉後の◯秘情報も有り】今後、交渉を進めるために必要なことは?」

日本は平和条約と領土問題の解決はセットという立場です。
ちなみに国際法上、平和条約を結んでいないということは、まだ日本とロシアは戦争状態にあるとも言えます。

9/12はプーチン大統領は次のようにも言っています。

「70年間、われわれは問題解決に取り組んできた。1956年の日ソ共同宣言(日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との共同宣言)は調印しただけでなく日本とソ連(現ロシア)の双方で批准された」

とここまではその内容を認めています。

しかし
「その後、日本は宣言の履行を拒否し、問題は逆戻りした」
と続けます。

この”日本の拒否”とは何を指しているのか?
おそらくプーチン大統領自身が認めている、日ソ共同宣言中の「平和条約の締結後に歯舞群島及び色丹島を日本に引き渡す」ことを指していると思われます。

しかしその後、我が国は択捉島、国後島を含む四島が未解決の領土問題であるという認識になりましたから、これがプーチン大統領の言う「日本の拒否」というところしょうか。

しかし(旧)ソ連側もブレジネフ書記長、ゴルバチョフ大統領と歴代首脳はこの四島が懸案の領土問題であるとは認めています。

それではなぜ日本は日ソ共同宣言のときに歯舞群島と色丹島の二島で合意したのでしょうか?

外務省のウェブサイトには以下のようにあります。

「1956年当時、日ソ両国は平和条約を締結すべく交渉を行っていましたが、我が国が一貫して返還を主張した北方四島のうち国後島及び択捉島の帰属の問題について合意が達成できなかったため、とりあえず共同宣言を締結して外交関係を回復し、平和条約交渉を継続することとして、領土問題の解決を将来にゆだねたからです。」
外務省HP 北方領土問題に関するQ&Aより

この点が正に日本の外交の「詰めの甘さ」です。
日本的な曖昧さでその後の相手の善意を期待しても外交はそうはいきません。
プーチン大統領は返還する気はないでしょう。

しかし「そうですか。しようがない」といくわけはありません。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2018年9月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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中田 宏
元衆議院議員、前横浜市長

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