うつの暗闇を10年さまよって見つけたうつ抜けの秘訣?

2018年09月29日 06:00

現在の産業保健では、過重労働とメンタルヘルス対策が重視されている。背景には、働き盛りの世代にうつ病や適応障害といったメンタル疾患が急増していることがある。厚労省の「労働安全衛生調査」によれば、全国で約23万人の労働者がメンタルヘルスを理由に「1ヶ月以上の休業」に陥っているとされている。

今回は、『にゃんともしんどい! 10年こじらせ脱うつ日記』(永岡書店)を紹介したい。著者は、漫画家の逢川里羅さん。自身の「うつ体験」や心の整え方について情報発信をしている。本書では、キャプチャー画像のネコが、主人公となりストーリーを展開させていく。漫画家ならではのタッチで読みやすくストレスを感じない。

画像は書籍内より引用

自分にとって心地よいほうを選ぶ

ダイエットをやめたあとに、体重がダイエット前より増える現象をリバウンドと言う。リバウンドを繰り返していると太りやすく痩せにくい体質になると言われている。

「ダイエットの場合、無理して短期間でやせようとするとリバウンドしやすいですよね。毎日ちょっとずつご飯の量を減らしたり、少しずつ歩く距離を増やしていったりと、地道に、コツコツと続けると健康的にやせることができます。つらいことを無理に行ったり、周囲の情報に流されて嫌なほうを選ぶと心が消耗してしまいます。」(逢川さん)

「私の場合、日常のささいな選択を”自分基準”で行うようにしていきました。『今日の口紅の色は?』『着ていく服は?』『誰とお昼を食べる?』など、自分にとって心地よいほう、楽なほうを選んでいくうちに、少しずつ心が元気になっていきました。」(同)

逢川さんは、最初はいちいち選択するのは面倒なので、「朝ごはんは何を食べる」「今日は何を着ていく」というように、目に見える選択から始めるのがよいと解説する。

「1日に5回、10回と選択をしていくうちに、意識しなくても、自分基準で選択できるようになってきます。そのほうが気分よくすごせるからです。常に気分がいい状態をキープできていれば、うつと仲良く付き合っていけると思います。」(逢川さん)

自分を責めるのをやめて人を頼る

「私も以前は、『人に迷惑をかけないように生きなければいけない』と思い込んでいました。でも、実は生きているだけで、なんらかの迷惑が他人にかかっているんですよね。仕事だって、迷惑をかけないようにと抱え込みすぎればパンクして、結局、周囲の人に迷惑をかけてしまいます。だったらそうなる前に、甘えたほうがいいということに、うつになってやっと気がつきました。」(逢川さん)

「私の場合、『他人に迷惑をかけてしまう私はクズである』という自己肯定感の低い考えから、なかなか抜け出せませんでした。そこで、『自分は人に迷惑をかけている。社会的に何もできない。でも、今はこれでいいんだ』と、うつの自分を『それでいい』と、何度も何度も認めてあげるようにしました。人に迷惑をかけて何もできない自分を認めることができれば、他人を認めることもできます。」(同)

迷惑なんてお互いさま。まずはありのままの自分を認めることが大切。できないことは無理にやらない、人に任せることを覚えていけば、気持ちも軽くなる。逢川さんは、うつと向き合うことで伸良く付き合っていく方法を見つけることができた。まずは自分と向き合い客観視することが大切である。

まずは、上司が正しい理解を

人が心の病気になる原因は、過重労働、周囲とのトラブルなどが挙げられるが、ダントツに多いのが、「パワハラ」である。最近は、若手の罹患が増えていることから、「最近の若者は折れやすい」といった声も聞かれる。しかし、そこに潜む課題も見えてくる。もし、あなたの上司が40~50代だったら要注意である。

この世代は、上からガツンと怒鳴られ、ダメ出しをされて育ってきている。「24時間戦えますか」を合言葉に徹夜はあたり前だった。上司より先に帰社し、有給消化をすれば賞与や昇進に影響があった。熱が出ても、38度くらいなら気合いで仕事をした。閉塞感のある時代ではなかったので、忙しいなりにも夢があったのかも知れない。

あなたの周囲で、このような考えを強要する人がいたら、それを「正しい指導法」だと思い込んでいる。すぐに意識変革をしなければいけない。本書は、読みやすいのでそのような上司に読ませてもらいたい。逢川さんの10年さまよった軌跡はリアリティそのもの。参考になる「うつ病」体験本である。

尾藤克之
コラムニスト

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