ブラックアウトさせないグリッドシステムを北海道に --- 宮武 郁郎

我が家は2日間停電し、その後7日間ほど節電しましたが今は元に戻っていますし、職場は自家発電で無事でした。

私と私の家族、周りの同僚や実家の家族と話す限り、今回の震災による停電を大停電と表現することに違和感を感じるのが正直なところです。

確かにガスも水道も使えた我が家はラッキーだったのかも知れません。
雪かきが嫌でマンションに引っ越した家族はエレベーターが動かず、水道も出ずに水くみが一番大変だったと聞きました。

真冬に停電になったらと考えるとなお、いつ使うか判らないポータブルのガスストーブや石油ストーブを長期間物置に置いておける一軒家はちょっと便利です。まあその分、庭の手入れや雪かきなどの労を強いられるのですからどっこいでしょうけど。

ブラックアウトについていえば、原発稼働後の想定でグリッドを組んでいた話や節電節電言いながら実は水力発電所を止めていた話などを聞いて北海道電力とJR北海道が重なって見えました。

仕事で道内企業のIT設計をしていて気づくのは、多くの企業が真面目に原発リスクを想定していることです。
積丹半島の付け根にある泊原発が万が一にも暴走したら地元企業はその活動をどのように継続させるか、そのためのバックアップにどの程度の予算が必要かなど真剣に議論し、しっかり予算化しています。

ところが経産省は泊村でM9以上の直下型大地震が起こる事は想定しません。
可能性が無いのではなく、想定したら原発を稼働できないからですよね。
なんだか北海道電力やJR北海道のソレに似ていて、道民の生命や財産など他人事のようで寒々しい感じがします。

今回起こった地震は北海道観測史上最大とか。発生した場所や震源の深さを含めて想定外との報道ですが、そもそも大災害は全て想定外。東海大地震でも様々なシミュレーションをしているだけで、対策するには規模が多すぎて実際ほとんど手つかずなのだから、想定しているとは言えないと思います。

ブラックアウトを防ぐためにより大きな発電能力を確保するのが良いのか、より細かな制御を行ってブラックアウトさせないグリッドシステムを構築するのが良いのかと問われれば、私は後者を選択します。

個人がちょっと準備をすれば北海道の冬でさえ安心して迎えられるのだから、原子力発電は実戦投入せずに静かにフェイドアウトさせるのが身のためだと思います。

宮武 郁郎 IT関連会社管理職
54歳 札幌市清田区在住。夫婦と男子3人の5人家族。実家は道東の中標津町。金融ITが専門でネットワークと端末が専門 最近はモバイルテレワークなどの需要が多い。

【編集部から】アゴラでは、実際に“日本初のブラックアウト”を体験された北海道民の皆様の率直な思いをお尋ねしています。

大停電のあとどのような影響が身近に出ているか?
原発とどう向き合っていくべきか?
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安倍政権のエネルギー政策
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