今さらだけど、沖縄に変わった苗字が多い理由を考えてみる

2018年10月03日 06:00

東京・元港区議の益満寛志です。

沖縄知事選で玉城デニー氏が当選しました。

Facebookより:編集部

個人的には、即座に当確を出した朝日新聞&テレ朝に対し、その後1時間以上も経ってからNHKが当確を出すのを確認してからようやく追従する他メディア、という対比が強烈に印象的でした。

「沖縄知事選でデニー快勝:死せる翁長、生ける安倍を走らす」参照

朝日が嫌いでも何でも、ここは純粋に評価すべきじゃない?
と思うのが正直なところです。
大差がついた結果なのに、NHKが当確を出すまでは様子見だった他メディアは何なんでしょうね。

とはいえ「政治業界で本当の当確はNHK」と言われているように、当の玉城陣営ですらNHKの当確を待ってから万歳カチャーシー(沖縄でお祝い事に踊るアレ)実施というのも不思議な光景ではありました。
せっかく陰に陽に応援してくれた朝日新聞を信じてなかったのでしょうかね。

ツイッター上でも20時台には「まだ油断できない…」という玉城氏支持者のつぶやきが散見されました。
朝日涙目です。

ところでそんな沖縄県知事選の対立候補は「佐喜眞」氏でした。
佐喜眞って珍しい苗字だなぁ、と思うのですが、華麗にスルーされている感があります。

当選した「玉城」氏も、本土では「玉木」姓が多いですが、沖縄では「玉城」のほうがメジャーな苗字だったりします。

そういえば「翁長」前知事も珍しい苗字ですね。
翁長氏が体調悪化した際に県知事職務代理者を務めたのは「謝花」副知事です。何と読むかわかりますか?
「じゃはな」なんですね。

翁長氏の前の知事は「仲井眞」さん、その前は「稲嶺」さん。

「上原」「島袋」「新垣」「今井」と言えばSPEEDメンバーの苗字ですが(ヤングは知らないかもしれませんね)、お騒がせの「今井」メンバーを除くと、沖縄ではどれもメジャーな苗字です。

「安室」「知念」「国仲」「仲間」「知花」ときたらどうでしょう。沖縄出身のあの女性を思い出しますよね。
ところが沖縄出身者以外でそのような苗字の友人が多いかというと、そうでもありません。

少し前に一世を風靡した連続テレビ小説「あまちゃん」にも、ご当地アイドルとして「喜屋武」ちゃんが出ていました。
読み方は「きやぶ」ではなく「きゃん」です。
関西の方だと「きゃん言わせたろか」のイメージがありますが、沖縄では多用しないほうが賢明です。

小生の個人的な知人にも「渡嘉敷」「瑞慶覧」「古謝」「古波蔵」さんがいます。
あぁ沖縄出身なんだなと、なんとなくわかる苗字です。

沖縄にはコールセンターも多く、お客様相談ダイヤルに電話すると、
「お電話ありがとうございます。株式会社○○のメトルマです」
といった感じで目取真さんに応対されることもあります。

このような苗字ですが、特定地域を除けば、沖縄以外の都道府県単位で珍しいメジャーな苗字というのはそこまでありません。

ちなみに小生が青春時代を過ごした宮城県では「佐藤」姓が異様に多く、どのクラスでも必ず佐藤さんが存在し、教師も佐藤教諭だらけでしたが、そもそも全国的に多数の佐藤さんがいますから違和感は少ないです。

沖縄に珍しい苗字が多いのはなぜでしょう。
それなりの理由があるのではないかと考えられます。

そもそも140年ほど前まで、沖縄は「琉球王国」というれっきとした独立国でした。
読者の皆様はなにを今さら、でしょうが、最近では少し前に日本がアメリカと戦争していたことすら知らないワカモノがいるらしいので念のため。

琉球王国で話されていた言語も独特なもので、さらには沖縄本島の北部・南部で違いがありますし、八重山はさらに違う言葉が話されていました。
今でも沖縄のおじい・おばあが話す言葉は理解不能だったりします。
※まぁ、津軽弁あたりも似たようなものですが。

地名でも「普天間」「宜野湾」「金武」など、沖縄ならではの地名が多く存在ます。
ちなみに「金武」は「きん」と呼びます。
金武にはタコライスの名店もありますね。

「今帰仁村上運天」なんていう地名もあります。
なんだか縁起がよさそうです。

実は沖縄では、そんな地名がルーツとなっている苗字が数多くあります。

琉球王国が薩摩藩に侵攻されたのが17世紀初頭ですが、それまでお国言葉としてあった名称に対し、薩摩統治後、表音文字としての漢字を当てはめたのが由来ではないかというのです。
アイヌ語がルーツとなっている北海道の地名にも共通しますね。

さらに沖縄独特の母音変換もあります。
日経新聞2016年2月13日号にはこんな記事がありました。

豊見城市の「保栄茂=びん」。かつて呼ばれていた「ぼえも」を漢字で表記した。沖縄では二重母音の「oe」や「oi」が「i」に変わることが多く、「ぼえ」は「び」に変化。語尾の「も」は、「あれもこれも」が「ありんくりん」になるように「ん」に変わる。こうして「ぼえも」が「びん」になった。

本土方言と琉球方言を区別する最大の特徴は母音の「o」が「u」に、「e」が「i」に変化する「狭(せま)母音化」だ。浦添市の「勢理客=じっちゃく」は、もともとの「ぜりきゃく」の「ぜ」が「じ」に変わった理由をこれで説明できる。「おきなわ」が「うちなー」になるように「き」が「ち」に変化し「じりちゃく」に。さらに「り」が詰まる音「っ」に変わった。

語頭に「勢」が使われているため、「e」が「i」に変わる前に漢字が当てられたと推測できる。

こうして地名由来&母音変換によって、沖縄の苗字が成立したというのです。
一説には9割の苗字が地名由来なのだとか。

あとは琉球支配に対抗してか、大和風の苗字を変換したものもあります。
前田→真栄田のような感じです。

個人的にはそんな沖縄のオリジナリティあふれる苗字がとても羨ましく、素敵だなぁと思っています。
田んぼの中に住んでいるから田中、山の下に住んでいるから山下みたいな単調さとは一線を画します。

小生の苗字「益満」も珍しいと言われることがありますが、先祖は薩摩藩の武士でした。今でも(かつては琉球王国だった)奄美などに益満姓の方が住んでいますから縁を感じます。

とかく政治面でクローズアップされがちな沖縄ですが、素晴らしい文化を育んできた魅惑的な土地であることを改めて考えたいところです。

益満 寛志(ますみつ ひろし)元港区議会議員
1983年生まれ。明治大学商学部出身。学生時代に当時ブームだった「学生起業」を経験したチョット意識高い系。27歳で当時存在した幻の政党「みんなの党」から港区議選に出馬し、まさかの当選。1期を務めたのち、次の選挙には出ずに無職となり貧乏隠居生活を満喫中。

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