日韓中の3人の女性の「国際結婚」

2018年10月06日 11:30

いまさら何よ、といわれるだろう。ひょっとしたら、「聖職者の独身制を改めて考える」という見出しのコラムを前日書いたばかりなので、「結婚できないローマ・カトリック教会聖職者へあてつけかね」と穿った受け取り方をされるかもしれない。

日本、中国、そして韓国と3人のアジアの女性たちの欧州の男性との結婚話を紹介したい。1人の女性は既に結婚生活をしていたが、当方がその事実は最近知った。他の2人は偶然、最近結婚したケースだ。3人にはまったく関係性がない。あるとすれば、当方が偶然、3人の結婚を知って「へェー」と驚いた、という細やかな事実だけだ。

前口上はこれで終わり、話を進めたい。

シュレーダー前独首相とキム・ソヨン氏(シュピーゲル・オンラインより:編集部)

①ゲアハルト・シュレーダー独前首相(首相任期1998年10月~2005年11月)は5日、韓国人のキム・ソヨンさん(48)とベルリンで結婚式を挙げる。キムさんがシュレーダー氏(74)の通訳を務める中で交際に発展し、めでたく結婚となったわけだ。

シュレーダー氏は頻繁に韓国を訪問、文在寅大統領と会見する一方、旧日本軍の慰安婦被害者が共同生活を送る施設「ナヌムの家」を訪問し、そこで日本の歴史問題に対する対応を批判し、韓国国民の歓迎を受けたことはこのコラム欄でも書いた(「シュレーダー独前首相と韓国女性」2017年10月4日参考)。

ドイツ国民ならば皆知っているが、シュレーダー氏はこれまで3回離婚し、4回結婚。そして4回目の婚姻も既に破綻し、別離状況だった。離婚がようやく成立し、今回無事に5回目の結婚となったわけだ。5回も結婚し、4回も離婚した人間は必ず、6回、7回と同じ失敗を繰り返す、なんて野暮なことはいわない。何回目とはいえ、慶事である点は変わらないからだ、5回目の結婚相手のキム・ソヨンさんは翻訳家で独語、英語、日本語も流暢という。

ウエルベック氏

②『素粒子』など代表作が日本語にも翻訳されている仏人気作家ミシェル・ウエルベック(Michel Houellebecq)氏(62)が今月、パリで上海出身の中国人女性 Qianyum Lysis Li さんと結婚した。独週刊誌シュピーゲル(9月29日号)が報じた。同氏にとって3回目の結婚だ。

ウエルベック氏は最新作『服従』で大きな話題を提供したばかりだ。小説の内容は、2022年の大統領選でイスラム系政党から出馬した大統領候補者が対立候補を破りフランスの大統領に当選するというストーリーだ。フランス革命で出発し、政教分離を表明してきた同国で、将来、イスラム系政党出身の大統領が選出されるという話はフランスばかりか欧州でも話題を呼んだ。

当方は、「墓地に行けば、無神論主義のわれわれの社会に対し、やりきれない思いが襲う」という同氏の発言に強い感動を覚えた一人だ。この発言は、神を失う一方、他の神(イスラム教)が拡大する欧州社会で生きているウエルベック氏の間接的な信仰告白だからだ。その同氏がどのようなきっかけで中国人女性と知り合い、結婚することになったかは知らない(「無神論社会の“やり切れなさ”」2015年1月25日参考)。

独連邦憲法擁護庁のマーセン前長官

③ドイツの情報機関、独連邦憲法擁護庁(BfV)のハンス・ゲオルグ・マーセン前長官(55)の処遇問題については数回、このコラム欄でも書いた。先月26日から27日にかけてドイツ東部ザクセン州のケムニッツ市で35歳のドイツ人男性が2人の難民(イラク出身とシリア出身)にナイフで殺害されたことから始まった。極右過激派、ネオナチ、フーリガンが外国人、難民・移民排斥を訴え、路上で外国人を襲撃。それを批判する極左グループと衝突し今月1日には18人が負傷した。同事件に対するマーセン長官の発言がメルケル大連立政権を大揺れにさせた。

3党党首会議を通じて同長官の更迭が決定され、内務次官への昇進といった話も一時あったが、最終的にはゼーホーファー内相の特別顧問に就任することで一件落着したばかりだ。

当方の関心は同長官の奥さんが日本女性だという点だ。その日本女性の年齢から結婚までの成り行きなどはまったく報じられていない。ドイツのスパイ機関トップを務めてきたご主人(マーセン長官)は私生活が外部に流れることを完全に封鎖してきたからだ。いずれにしても、ドイツのスパイ機関トップのハートを日本女性がどのようにして虜にしたかを知ることは、いろいろな意味で参考になるのではないか(「更迭された独スパイ機関トップの奥さんは日本人」2018年9月22日参考)。

日韓中の3人のアジアの女性たちは、異国で重要な立場にあった政治家、高級官僚、そして著名な作家のハートをつかみ、結婚したわけだ。国家、民族、文化の違いを超えて国際結婚時代に入って既に久しいが、その国際結婚のカップルも益々社会の多様な分野に及んできているわけだ。

プーチン・ロシア大統領の娘さんがトランプ米大統領の息子さんと国際結婚し、中国の習近平国家主席の息子さんが世界的資産家ビル・ゲイツ氏の娘さんと結婚すれば、ディールで時間を費やすより、世界は一歩、平和に近づくのではないだろうか。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領の両家が親戚関係になれば、板門店会議を何度も開催するより南北再統一は早く実現することは間違いないだろう(上記の政治家に該当する息子、娘さんが存在するかは未確認)。

いずれにしても、婚姻を通じて世界を統合するやり方は世界史の授業で既に学んできた。オーストリアのハプスブルク王朝が得意とした婚姻政策だ。その婚姻を通じて同王朝は欧州全土に広がっていった。ハプスブルク王朝時代、国母と呼ばれたマリア・テレジア女王(1717~1780年)は、「汝、結婚して、子供を産め」という有名な言葉を残した。それに倣い、このコラムの最後に、アジアの女性たちに「汝、国際結婚して、世界を平和にせよ」という言葉を送りたい。


編集部より:このブログは「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2018年10月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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