白タク行為に該当するライドシェアとは?業界寄りの意見書には断固反対

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

先週末に閉会した都議会について、最終日に議決された「意見書」について今日は触れたいと思います。

「意見書・決議」とは、国や政府に対して対応を求める事項を都議会として決定し、強い意志を表明するものです。

議決されれば「議会の総意」ということになるわけですから、原則としては多数決ではなく「全会(全会派)一致」を目指すことが慣例となっています。

もちろん慣例には例外もあるわけですが、それはオリンピック・パラリンピックなどの国民的関心事が高い事項に限られてきました。

ところが今定例会では、終盤になってこちらの意見書が議会運営委員会に提案され、全会一致の原則を破って本会議に上程・多数決で議決されました。

「白タク行為への更なる対策強化を求める意見書」

ということで、違法な白タク行為を取り締まることにはもちろん異議はありません。

しかしながらこれはよく読むと、シェアリングエコノミーの大きな柱であり、次なる経済政策の目玉である「ライドシェア」を否定する文脈が第二段落・第三段落に明記してあり、「ライドシェア」を白タク行為と結びつけて攻撃する意図があることが明白な内容です。

こちらの意見書は、多くの会派の意見を調整して、最終的には第一会派の都民ファーストの会が発起人として提出されたものですが、当初はもっと直接的に「ライドシェアの導入に慎重な対応を求める」という文言が入っていました。

都議の中にはライドシェアに理解を示す立場の方々もいたため、さすがにそこまでの直接的な文言は最終的に削除されたようですが、私からは

●意見書要点の1つ目である「白タク行為に該当するようなライドシェア」の定義が不明確であること
●第二・三段落の文脈から解釈すれば、ライドシェアに慎重あるいは否定的な内容として理解できること
●業界団体からの意向が強く働いているようにしか思えないこと

を理由として、本意見書には反対する旨を提案会派に事前にお伝えしていました。

オブザーバー委員とはいえ、議会運営委員会に当会派も議席を持っているので、慣例であればここで「不一致」ということになり本会議には上程されなかったのですが…。

どうしてもこの意見書は通したいという意見が強かったらしく、最終日の本会議で上程され、賛否が分かれることになりました(かがやけTokyoのみ反対)。

今回の件で何より私が衝撃を受けたのは、シェアリングエコノミーを推進する立場であったはずの第一会派・都民ファーストの会が最終的にこの意見書を取りまとめ、さらに強引な本会議での議決にまで至ったことです。

Abhijit Bhaduri/Flickr:編集部

私が在籍したころの都民ファーストの会は、既得権益を打ち破り、こうしたシェアリングエコノミーなどの新産業政策によって、東京を力強く発展させていくことを目指していたはずです。

ライドシェア解禁には、既存のタクシー業界が強く反発しています。こうした業界や労働者団体から支援を受けている既存政党では、規制緩和を強力に推し進めることはできません。

それができるからこその改革政党であり、そこに多くの都民の期待が集まったわけです。

ところが、都議選の直後から団体ヒアリングを行い、あまつやえ業界団体に大量のパーティー券を買ってもらっているうちに、すっかり業界団体の意向を斟酌することになってしまったようです。

まだまだ国民的関心事とは言えない政策分野に対する意見書を、慣例を覆して本会議で議決するほどに、その「しがらみ」が強くなっていたことには驚きを隠せません。

わかっていたことですが、また一つ「しがらみのない」という看板が一敗地に塗れる光景が目の前で繰り広げられたのは、なんとも言い表せぬ悲しいものがあります。

私自身は引き続き、何者にも囚われない立場から、シェアリングエコノミー・ライドシェアにおける諸課題の解決に取り組みつつ、その導入推進を積極的に求めていきます。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年10月8日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。