都民ファーストの暗闘を「加藤の乱」と比較する

2018年10月12日 06:00

複数の新人都議が離党を検討するなど、内部の亀裂が明らかになった都民ファーストの会。きのう11日は豊洲市場の開場とあって表向きは「平穏」だった。

新人都議側をツイッターで挑発した執行部側の2期目、山内晃都議(品川区選出)は、「内部の話しを外に出すべきではなかった」などと当該ツイートを削除。ツイッターとフェイスブックで山内氏に猛反発した新人都議の奥澤高広氏(町田市選出)は、11日時点は沈黙していた。

そうしたことからも、豊洲市場のニュースが脚光を浴びる裏で、執行部側による所属都議たちに対する締め付けが厳しくなっているのがありありとうかがえる。

都政関係者によると、奥澤氏に先んじてブログで公然と党批判をした森澤恭子氏(品川区選出)は、ここ数日は都議会庁舎に姿を見せておらず、ツイッターは4日を最後に更新していない(12日午前1時時点)。

きょう知事定例会見&音喜多新党旗揚げ

定例会見で何か言及があるか(都知事公式Facebookより)

そうした中で、きょうは金曜日を迎える。都政ウォッチャーならすぐにピンと来るだろうが、毎週金曜日は午後2時から小池知事の定例記者会見が行われる。

アゴラで私が「新人都議が離党検討」を報じてから、都庁クラブの記者たちは対応に追われているようだが、タブロイドの日刊ゲンダイですら一文字も報じていない。

もちろん、取材は水面下でやっているから、記者たちから本件で質問が飛ぶかもしれないが、クラブ所属の記者は格下にみている週刊誌発、ましてやさらに見下しているネットメディア発の特報となれば、つまらないプライドがあるからか、チキンだからかはケースバイケースだが、沈黙してスルーしがちだ。なので基本的には期待していない。すでに都議たちがSNSで公然とバトったというのに白々しい。

もし週刊誌の記者が会見に参加できるなら、ぜひKYぶりを発揮して小池知事に一連の騒動についてぶつけていただきたい。まぁ、知事が指名すればの話ではあるが。

BLOGOSより

そしてきょうは知事会見のあとの16時から、音喜多新党の結党記者会見となる。党名も興味深いが、やはり私個人は、今回の都ファのお家騒動に関して水面下での接触があるのかどうか。

前回、都ファの亀裂を深めている3つの調略ルートがあるという説を紹介したが、新党はその①として浮上している。もし、これで都ファ所属の新人都議が会見に同席して鞍替えを宣言したら大ニュースだが、さすがにそれはあるまい(笑)。このあたりは中長期でみるべきかもしれない。

さて、今回の騒動の当面のヤマ場はどこか。それは来週16日(火)に予定される議員総会になるのではないか。ここでなんらかの動きがあるのか、都政関係者、マスコミがもっとも固唾を呑んで見守ることになろう。

加藤の乱の運命を分けた「週末」

ここで私が注目するのは週末を挟むことだ。というのも、2000年11月、自民党の加藤紘一氏が野党と結託して森内閣打倒をはかった「加藤の乱」も週末を挟んだことが分水嶺の一つだったと言われるからだ。

加藤氏は森首相の国民的不人気につけいる形で、倒閣の姿勢をはやくから鮮明にし、世論に支持を訴える作戦を展開した。

加藤氏の動きを好機ととらえた野党・自由党の小沢一郎代表は、民主党の鳩山由紀夫代表に対し、金曜日の国会に内閣不信任案提出をさせようとした。

これは週末に加藤派(宏池会)の議員が地元に帰ると、後援者に説得されたり、執行部に締め付けられる時間ができてしまうリスクを予期したものだったが、加藤氏は、週末に議員たちを説得するといって小沢氏の提案に応じなかった(詳しくは山崎拓氏の回顧録『YKK秘録』などをご参照)。

しかし、事態は百戦錬磨の小沢氏が危惧したとおりになった。野党提出の不信任案に賛成するという「禁じ手」への反発もあり、45人の議員中24人が離脱。加藤派は盟友の山崎派とともにホテルオークラで待機し、採決は欠席するという腰砕けに。クーデターが鎮圧されたのは周知の通りだ。

疑心暗鬼のウィークエンドへ

翻って今回の都民ファーストの会の暗闘。規模も役者も加藤の乱よりは段違いに劣るのはさておき、党内の不協和音が明らかになり、「イベント本番」を前に週末を迎えた点では共通する。執行部側が切り崩しをはかる時間はできるし、離党を考えている都議たちが地元で「嫁ブロック」ならぬ「支援者ブロック」に遭いやすい。

ただ、加藤の乱と明らかに違うのは、反乱軍が一体だれで、どの程度の規模なのか不透明なところだ。党内外で「離党予備軍リスト」の噂はあるが、100%正確に把握している者は誰もいないようだ。

そこに不気味さを加えているのが、前回紹介した3つのルートのうち、野田数氏と自民党・山崎一輝氏(江東区選出)による「第3ルート」の存在だ。

もちろん、この第3ルートですら実体が伴っているのか判然としていないのだが、野田氏も山崎氏も11日時点でこの件について公で一切発言していない。昨日、筆者が取材した時点では、それがまた都ファ内部での動揺を広げているようだった。

実体は、所属都議同士がツイッター上で「私闘」をみせただけの、大山鳴動ですらない「些事」なのか。それとも、加藤の乱のような騒動、あるいは集団離党などの変事をはらむ「予兆」なのか。都ファ関係者たちは疑心暗鬼のまま、沈鬱な週末を迎えようとしている。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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