これから必要な事務方は「事務的でない」タイプだ

2018年10月14日 06:00

事務は楽な仕事?

事務方の問題が止まらない。文科省の「モリカケ問題」「不正合格問題」、財務省の「決裁文書改ざん問題」「セクハラ問題」などだ。不正や不祥事まで発展しなくとも、組織において、事務方の怠惰は「お役所仕事」と非難される。事務とは辞書的には「組織の運営上必要な書類・帳簿などの作成やその処理に当たる業務」であるため、楽で瑣末な仕事だと捉えられがちである。

しかし、事務は決して楽な仕事ではなく、縁の下の力持ちでもある。政治家に対する官僚、教員に対する職員、演者に対する黒子、プレイヤーに対するスタッフ。こうした事務方は、相方であるパフォーマーのパフォーマンスが最大限引き出されるよう、事前に緻密に仕立てる段取り力とその場での臨機応変力が求められる。それらを怠れば国会答弁も授業も公演も試合も、台無しになる可能性がある。

その意味で、組織力は事務方で決まると言っても過言ではない。国際連合事務総長の仕事は、その多忙さから「世界で最も困難な仕事」と称されるほどである。

処理から遂行へ

AIやRPAなどで事務仕事が自動化されると言われるなかで、付加価値の高い仕事が事務方には求められる。私は大学の職員だが、2017年の大学設置基準の改正によって、事務方の役割は「事務の処理」から「事務の遂行」に変更された。当事者意識の希薄な事なかれ主義の仕事ではなく、組織の目的に従ってできることを自ら探し実行する任務遂行が期待行動だと理解している。

昨年末、テレビ企画を真似て新橋での100人街頭インタビューを企画し学生と実施した際、彼らの事務方や事務職への見方の変化に気づかされた。大学の仕事のひとつである「職業観の醸成」は、何も教員だけの専売特許ではない。事務方が行ってはいけないという規定はどこにもない。事務方だからといって、ずっと椅子に座っておかねばならないということはないのだ。

事務職ではないが、ディズニーランドのカストーディアル(清掃員)が雨の日に雨水で地面に絵を描くおもてなしを実行するのは、彼らが事務的に清掃業務に従事していない証拠である。裏方であっても夢の国を預かる組織の一員であり、持ち場でできることは眼前に沢山落ちている。そうした積極果敢な前傾姿勢の職業観だからこその行動である。ゴミ拾いも仕事だが、ネタ拾いも仕事である。裏方や事務の仕事だからといって、感情を交えず事務的に振舞わねばならないという決まりはないのだ。

求められる事務的でない事務方

教育界で言えば、我が国の学校は、全教職員のうち8割以上が教員であり、諸外国に比べて事務方の割合が低い。教員の長時間労働が問題視される昨今、今後はより一層、事務方に高い能力が求められるだろう。事務方でノーベル平和賞を受賞した第7代国連事務総長のコフィ・アナン氏のように、血の通った人間臭く泥臭い仕事を事務方が率先垂範せねばならない。これからの組織に求められるのは、事務的でない事務方である。

高部 大問

高部 大問(たかべ だいもん) 多摩大学 事務職員
大学職員として、学生との共同企画を通じたキャリア支援を展開。本業の傍ら、学校講演、患者の会、新聞寄稿、起業家支援などの活動を行う。

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