地球温暖化、トランプ支持者含むアメリカ人の大好物に影響?

トランプ大統領は、就任早々の2017年6月1日にパリ協定の離脱を表明しました。あれから1年以上が過ぎCBSの名物番組「60ミニッツ」に登場したトランプ氏、地球温暖化に懐疑的な見方を繰り返しましたが、さすがに支持者が大好きであろうモノに影響が及ぶとなれば、その姿勢が変わったり?

そのモノとは、ビールです。

ビールの原料と言えば、大麦ですよね。特に、でんぷんが多くタンパク質が少ない二条大麦が使用されます。しかし、米国、英国、中国出身の科学者達がネーチャー・プラント誌に掲載した予測に基づくと、気温上昇と熱波により21世紀が終了する2099年まで大麦収穫量が3~17%減少するのだとか。大麦収穫量の減少により、最悪シナリオでビール6本入り1ケースの価格は世界平均で足元16ドルのところ、3倍増になるといいます。

米国で最近シェアが低下中とはいえ、ビールはアメリカ人の間で最も好まれるアルコールであり、NYポスト紙によればアメリカ人のソウルです。

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(作成:My Big Apple NY)

だからこそ、2016年の大統領選では1829年創業で全米最古のビール醸造所、D・G・イングリング・アンド・サンのトップがトランプ支持を表明し、大いに物議を醸しました。第3代米国大統領のトマス・ジェファーソン氏が愛し、第16代大統領のエイブラハム・リンカーンが認めたビールは、アメリカ人と切っても切れないもの。ビア・マーケッター・インサイトによれば、アメリカ人1人当たりの消費量は2017年に99.9リットル(26.4ガロン、ビール大瓶157.8本)です。日本人の41.4リットル(2016年のキリン調べ)を軽く超えます。そうなると、気になるのが州別の1人当たりビール消費量ですよね?トップ10(ワシントンD.C.を除く)は、以下の通り。消費量は購入ベースを含んだ2017年の数字、消費税は2018年時点となります。

10位 テキサス州
1人当たりの年間消費量:120.4リットル(31.8ガロン)
5年間の変化率:1.3%増
10万人当たりのバー、レストラン軒数:166.3軒(41位)
ビール税 1ガロン当たり20セント(31位)
消費税:8.17%(12位)

9位 バーモント
1人当たりの年間消費量:124.2リットル(32.8ガロン)
5年間の変化率:5.8%減
10万人当たりのバー、レストラン軒数:210.2軒(11位)
ビール税 1ガロン当たり27セント(23位)
消費税:6.18%(36位)

8位 ネバダ
1人当たりの年間消費量:124.5リットル(32.9ガロン)
5年間の変化率:2.2%増
10万人当たりのバー、レストラン軒数:196.9軒(19位)
ビール税 1ガロン当たり16セント(36位)
消費税:8.14%(13位)

7位 ネブラスカ
1人当たりの年間消費量:126.1リットル(33.3ガロン)
5年間の変化率:1.7%減
10万人当たりのバー、レストラン軒数:197.1軒(18位)
ビール税 1ガロン当たり31セント(20位)
消費税:6.89%(25位)

6位 メイン
1人当たりの年間消費量:127.9リットル(33.8ガロン)
5年間の変化率:0.2%増
10万人当たりのバー、レストラン軒数:226.0軒(6位)
ビール税 1ガロン当たり35セント(18位)
消費税:5.50%(42位)

5位 ウィスコンシン
1人当たりの年間消費量:129.8リットル(34.3ガロン)
5年間の変化率:2.4%減
10万人当たりのバー、レストラン軒数:213.8軒(9位)
ビール税 1ガロン当たり6セント(48位)
消費税:5.42%(44位)

ウィスコンシン州と言えば、映画「ラブ・アクチュアリー」のこれを思い出さずにいられません。
giphy
(出所:giphy.com

4位 サウスダコタ
1人当たりの年間消費量:144.6リットル(38.2ガロン)
5年間の変化率:2.8%増
10万人当たりのバー、レストラン軒数:204.4軒(14位)
ビール税 1ガロン当たり27セント(22位)
消費税:7.37%(18位)

3位 ノースダコタ
1人当たりの年間消費量:145リットル(38.3ガロン)
5年間の変化率:10.3%減
10万人当たりのバー、レストラン軒数:216.2軒(8位)
ビール税 1ガロン当たり39セント(17位)
消費税:6.95%(24位)

2位 モンタナ
1人当たりの年間消費量:149.1リットル(39.4ガロン)
5年間の変化率:1.4%増
10万人当たりのバー、レストラン軒数:257.5軒(1位)
ビール税 1ガロン当たり14セント(40位)
消費税:ゼロ

1位 ニューハンプシャー
1人当たりの年間消費量:153.7リットル(40.6ガロン)
5年間の変化率:3.5%減
10万人当たりのバー、レストラン軒数:213.0軒(10位)
ビール税 1ガロン当たり30セント(21位)
消費税:ゼロ

1位と2位のニューハンプシャー州とモンタナ州で消費量が多いのは、購入分を含めて考えると共通点が浮かび上がります。そう、消費税がゼロなんですよ。そうなると、周辺地域から買いにやって来る方々も少なくないでしょう。その他、地域別ではテキサス州やノースダコタ州、サウスダコタ州の南部、バーモント州やメイン州など北東部が並びました。ちなみに、消費量で最低の州はモルモン教徒が55%とされるユタ州で1人当たり70.8リットル(18.7ガロン)、その他ニューヨーク州は46位で82.9リットル(21.9ガロン)、カリフォルニア州は35位で25.1リットル(95.0ガロン)となっています。

なおトランプ大統領、先程お伝えした「60ミニッツ」で、気候変動につき2012年にツイッターで表明したような「でっち上げ」との批判を取り下げていたようです。大麦の収穫量を意識して環境問題に配慮し始めた・・・なんて期待は早計で、中間選挙を見据えた戦略の一環かもしれませんね。

(カバー写真:Thomas Hawk/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年10月16日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。