改憲発議に前のめり過ぎ 自民党の露骨な新体制

新藤義孝さんも下村博文さんもよく存じ上げている方なので、決して無理はされないとは思うが、自民党の中でこれまで憲法改正議論の取りまとめに奔走されてきた穏健派の船田元さんや中谷元さんをことさらに衆議院の憲法審査会の幹事から外したような印象があり、今回の人事は自民党にとってマイナスになるのではないだろうか。

一口に言って、露骨ですね~、性急すぎますね~、と言ったところだ。

新藤さんも下村さんも周到で丁寧に議論の取りまとめをされる方であるが、これまで広範な憲法議論のオピニオンリーダーみたいな役割を果たされたことは一度もないはずである。

中山太郎憲法調査会当時、熱心に与野党間で展開されていた憲法議論には一度も参加されたことがないはずだから、このお二人の場合は憲法に関する諸問題については必ずしも造詣は深くない。

まあ、国会議員の憲法議論はその程度でもいい、という考え方はあるかも知れないが、うっかりすると憲法の議論はおざなりにしたまま憲法改正の手続きだけ急ごう、ということになりかねない。

結論先行の憲法審査会になりかねないな、という心配がある。
憲法の議論は殆どしないで、ただ採決だけ急ぐ、などということになってはいけない。

国対的発想では、結構いい人事じゃないか、などと思っておられる向きがあるかも知れないが、国民の共感と理解を得られるような審議が果たして尽くされるだろうか、ということになると、実に心配だ。

大丈夫なのかしら?


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年10月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。