宝くじと競馬、地方自治体の資金調達として、どちらがまともか

2018年10月30日 11:30

宝くじの発売は、富くじに関する「刑法」第百八十七条の規定により、立派な犯罪である。その犯罪が堂々と行われている理由は、別に「当せん金付証票法」という法律があるからである。これは、「刑法」第三十五条によって、「法令又は正当な業務による行為は、罰しない」としていることによる。

宝くじを非犯罪化している理由は、地方自治体の資金調達の手段という公益性である。「当せん金付証票法」は、第四条により、宝くじの発売を地方自治体に限り、かつ、第一条の法律の目的により、「地方財政資金の調達に資することを目的とする」ものとしているのである。

また、競馬は、「刑法」第百八十五条の賭博罪に該当し、立派な犯罪である。ところが、「競馬法」第一条により、「日本中央競馬会又は都道府県は、この法律により、競馬を行なうことができる」とされていて、合法化されている。これも、「刑法」第三十五条の適用によるのである。

競馬の開催が地方自治体に認められているのは、資金調達の目的ではない。競馬の場合は、日本中央競馬会の「経営の基本方針」にもみられるように、「歴史と伝統のある競馬」、「国際的なスポーツエンターテインメントとしての競馬」を通じて、「夢と感動を皆様にお届け」するものという位置だから、文化的に確立した娯楽として、賭博の例外の地位が法律的に付与されたのである。

しかし、競馬の付随的な目的として、「競馬法」第二十三条の九は、「都道府県は、その行う競馬の収益をもって、畜産の振興、社会福祉の増進、医療の普及、教育文化の発展、スポーツの振興及び災害の復旧のための施策を行うのに必要な経費の財源に充てるよう努めるものとする」としている。

宝くじというか、富くじも長い歴史をもっていて、庶民に「夢」を届けるものとして、文化的に確立したものであるが、「当せん金付証票法」は、宝くじに競馬のような文化的な背景を認めて、それを保護しようとしたのではなく、地方自治体の資金調達の手段としているのであって、競馬とは大きく異なる。

さて、法律はともかく、宝くじと競馬、本来は犯罪である物を、地方自治体の資金調達手段として利用していいものなのか、いいとして、どちらがまともであろうか。

 

森本紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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