尊敬される消費とは何か?私がファストファッションを着ない理由

2018年11月05日 15:00

尊敬する同世代、赤木智弘さんがナイスなご意見をツイートしていた。いちいち同意である。


激しく同意である。ロスジェネが積極的に消費をすることは経済を活性化させる原動力になるだろう。「安心して」「消費できる」環境を作らなくてはならないのだけど。いや、「安心」しなくても使ってしまいたくなるのだけど。

しかし、私は『GOETHE』に出てきそうなベンチャー社長ほどはお金を持っていないのにも関わらず、『LEON』『BRUTUS』『Pen』的に熱心に消費している。服にかけている金額、買う頻度を話すと、たいていみんな「引く」。食事にかける金額も、だ。以前、松浦弥太郎を「消費界の中谷彰宏」といじくりまくっていたら、いつの間にか彼に心酔し。本も買いまくり。いまでは「男の一流品」を買わなくてはと思っていたりする。だが、まったく尊敬されないのである。景気に貢献している実感もない。

一方で…。若い人はお金を使うのは怖いという。ただ、「お金がない」と言いつつ、趣味にお金をかけている(クルマやバイクにお金をかける)、仲間と月に1回くらいのペースでテーマパークに出かける、ソシャゲにお金を注いでしまっている、日常的に飲み代が自然に出ていくという若者を見掛けたりもし。

…モノにお金を使うのがかっこ悪いということか。尊敬される消費とは何かを考えてみよう。

ちょうど、昨晩のTBSラジオ「文化系トークラジオLife」はファッション特集だった。この手の話は、ユニクロとどう向き合うかという話になる。あるいは、ZOZOだ。

私は路面店かデパートでしか服を買わない。ユニクロやZOZOは使わない。これは、プラットフォーマーとの、さらにはグローバル化との戦いでもある。

ユニクロは東京やNYで商品企画をするという。キム・ジョーンズなどトップクラスのデザイナーに仕事を依頼できる。中国やバングラディッシュなどで大量生産し、全世界で販売する。グローバルなサプライチェーンが構築されている。

ニューヨーク、パリ、ロンドンなどにもかなり前から店を出している。市場として大きいだけでなく、ブランディングにもつながるし、各地のファッション事情を吸い上げることができる。

中国のアパレル工場はファストファッション企業の生産に耐えられるような仕様に、多額の投資により拡大するか、商売替え(飲食店など)をするか、いずれかを選択していった。中国は世界のアパレル工場に。一方、デパートや路面店ブランドに適した生産拠点が減っているという。

ユニクロとZOZOにはこうしている間にも膨大なデータが蓄積されていく。結果として、より消費者のニーズを捉えた、よい品質のものを、提供できる可能性がある。今後も最高峰のデザイナーに仕事を依頼することができるのだろう。

家内はユニクロのヘビーユーザーだ。リアル店舗でも、ネットでもよく買う。彼女はこの合理的な仕組みが、人々を解放しているのではないか、と言う。お金をかけずに、オシャレができる。しかも、お金がなくても多様な選択ができる、と。

政治的スタンスにおいてはお互いに左派なのだが…。私は同意できない。街の本屋の品揃えやぬくもりが好きであるように…。私はファストファッションは一切買わない。必ず、路面店かデパートで買う。

合理的ではない選択肢だとしても、路面店、デパートでナショナルブランドを買い続けることは、「僕が僕であるため」の、人間らしくあるためであり、グローバル化の負の側面に対する私なりの抵抗だ。

ファッションは、自分にとっては必需品以上のものであり、生きる喜びだ。世の中の変化を感じる機会でもあり、自分を表現する手段でもある。人生に彩りを与えてくれる。

ファストファッションにも、ZOZOにもファッションを楽しくしている要素はあるのだろう。雇用を生み出しているという意義もある。ただ、店や雑誌で新しい服と出会い、店員さんと会話を重ねつつ、わくわくする日々が楽しすぎるのだ。

昨日は絶大なる経済力でフェイクファーコートとデニム2本を購入。『UOMO』で、『ジョジョの奇妙な冒険』のブチャラティがバレンシアガを着ていたのを見て、いいなあと思って。私のファッションにうるさい妻が「コートに負けていない」と珍しく褒めてくれた。

オシャレが楽しいと、人生が楽しいのだ。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2018年11月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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常見 陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師

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