ニューカレドニアのフランス残留は日本にも吉報だ

南太平洋にあって「天国に一番近い島」といわれたニューカレドニアで行われた独立の是非を問う住民投票は、投票率75%で、フランス残留賛成が56%。予想より独立賛成票が少し多かったが、長年にわたる議論にひとつの区切りが付けられる。

ニューカレドニア(写真ACより:編集部)

ただし、議会の3分の1が要求したら、2020年と2022年に再投票が行われることになっているので、最終決着はそれを待たねばならない。

かつては、オーストラリアやニュージーランドが独立を後押ししているようなかたちになっていたが、中国の海洋進出の脅威が強まる中で、日本、オーストラリア、フランス、インドの軍事協力が強化されるなど雰囲気がかわっており、日本としても中国が付けいる隙を与えないという観点からもフランス残留はまことに歓迎すべきニュースである。

それについては、安倍訪仏を伝えた韓国のハンギョレ新聞が以下のように報じていた。

安倍首相とマクロン大統領は、北朝鮮の非核化と日本人拉致問題の解決に向けて国連安保理の対北朝鮮制裁を完全に履行することが必要だということにも意見が一致したと、日本の外務省が明らかにした。

(日仏両首脳は)両国間の安保協力を強化することで合意した。日本は南太平洋のニューカレドニアに軍事基地を保有しているフランスとの軍事協力を強化し、中国の海洋進出を牽制する動きを見せている。

安倍首相は首脳会談後、パリのエリゼ宮殿で行われた共同記者会見で「日本とフランスは同じ太平洋国家だ。自由で開かれたインド太平洋の発展と繁栄に向け、力を合わせたい」と述べた。フランスがニューカレドニアやフランス領ポリネシアなど、南太平洋の一部の島々に対して領有権を持っている点を意識した発言だ。マクロン大統領も「インド太平洋の均衡と安定は(国際社会の)課題」だと応えた。

両首脳は、日本の自衛隊とフランス軍の合同軍事演習の拡大にも合意した。日本の海上自衛隊の艦艇は今年2月、関東付近の海でフランス艦艇と演習を行った。自衛隊とフランス軍だけが行った初の合同演習だった。日本とフランスは今年7月、相互軍需支援協定(ACSA)を締結した。日本は最近、フランスだけでなく、自衛隊と外国軍との共同合同演習を拡大している。陸上自衛隊は先月30日から今月12日まで、静岡県と山梨県、宮城県で英国陸軍と合同演習を実施した。陸上自衛隊が日本領土で同盟国である米国軍のほか他国の軍隊とともに訓練した初めての事例だ。

フランスのインド洋と太平洋の領土については、回を改めて論じたいが、私は1992年のフランス在勤中に、タヒチを訪れて仏領ポリネシアの大統領と会談したことがあるので、改めて論じたい。ニューカレドニアもそのときに訪問予定だったのだが、サイクロンで行き損ねた。

参考情報:フランスがインド太平洋防衛政策を発表(駐日フランス大使館最新情報)

フランスのフロランス・パルリ国防相が2018年6月、イギリスの国際戦略研究所(IISS)の主催によりシンガポールで開催された第17回アジア安全保障会議(シャングリラ対話)で、「フランスとインド太平洋における安全保障」を各国の防衛大臣に紹介した。

フランスは国連安全保障理事会常任理事国として、そして特に住民150万人以上が暮らす海外領土と900万平方キロメートルの排他的経済水域(ZEE)を有するアジア太平洋地域沿岸国として、安全保障に積極的に取り組む姿勢を改めて明確に示します。

フランスはインド洋南部にマイヨット島、ラ・レユニオン島、エパルス諸島、フランス領南方・南極地域を有するほか、太平洋にもヌーヴェル=カレドニー(ニューカレドニア)、ワリス・エ・フトゥナ、仏領ポリネシア、クリッパートンを有します。フランス軍部隊が海外領土に駐留し、インド洋と太平洋に常駐配備されていることで、ヨーロッパ諸国の中でも卓越したプレゼンスを確保、パートナー諸国の側に立って地域の安定に貢献しています。