わざわざ高く戦闘機を買って、税金を浪費すべきなのか?

<税を追う>F35A 米から20機追加購入へ 日本企業、参画断念も(東京新聞)

航空自衛隊に配備する米国製の最新鋭戦闘機「F35A」について、政府が約二十機を追加購入する方向で最終調整していることが、関係者への取材で分かった。現在購入を進めている四十二機のうち三十八機は、国内企業が製造に参画し、調達価格が割高になっている。追加購入する二十機は、国内企業の製造参画を取りやめ、米国製をそのまま輸入することも検討している。

F35Aを巡っては防衛省は国内産業育成のため、機体組み立てや部品製造に参画する三菱重工業、IHI、三菱電機の三社に計千八百七十億円を設備投資。輸入を選べば、これらの施設の機能が大幅に縮小する可能性もあり、多額の税金を投じた判断が問われそうだ。

国内企業が製造に参画する現在のF35Aについて、防衛省は一九年度の概算要求額で一機百五十三億円と見積もっている。これに対し、今年、米政府が製造元のロッキード・マーチンと契約した単価は百一億円。日本が、米国からの直接輸入を選べば、取得コストは大幅に減る見込みだ。

政府関係者によると、現行の四十二機の生産が終われば、機体組み立ての施設は閉鎖、整備拠点は機体の維持運用のため存続させる方向で検討している。追加分の二十機は、主力戦闘機「F15」の後継の一部と位置付ける方針。約二百機あるF15のうち、百機は改修して使い続けることになっているが、未改修の残り百機の扱いが焦点になっていた。(望月衣塑子、原昌志)

F35A(空自サイトより:編集部)

この件は財務省が随分と頑張っているようです。
はっきり申し上げて、頭がオカシイとしか思えない。42機中たった38機を組み立て生産しても、調達コストが上がるだけです。取らぬ狸の皮算用だった国内企業のコンポーネントの製造も三菱重工始めやるきがなく、一部の部品は製造するもいまだ空自用の機体には使用されていません。

技術移転もなく、単にわざわざ高くして調達している。まるで準禁治産者。生活保護費がでるとカネを掴んでパチンコ屋や立ち飲み屋に駆け込む無職のおとっつぁんみたいのなものです。そりゃ、F-15Jも共食い整備するようになりますよ。

これまで投下した初度費は以下のとおりです。

2015年度  177億円
2014年度  425億円
2013年度  830億円

合計1432億円掛かっています。既にご案内のとおり、「初度費」は本当の意味での初度費ではなく、延々と払い続けることができます。ですが現段階の金額を38機の国内生産分で頭割りすると、1機あたり約38億円、調達単価が150億円とするならば、実際の調達単価は190億円となります。しかもLM社の駐在員の一人あたり数千万円のコストもかかっています。

既に払った初度費はしょうがないにしても、これから調達する既存の計画の機体及び、20機の追加調達する機体を輸入に切り替えれば1500億円以上は浮くでしょう。これ当初から輸入だったら3000億円程度の節約になったはずです。一体誰が払った金だとおもっているんでしょうか。

ああ、もったいない。
3000億円もあったら貧困対策とか、国の借金の返済に使えばよかった。

しかもアメリカがリリースしないF-22という米空軍と同じおもちゃがほしいとゴネて、7年も調達を送らせて、その間F-4EJ改を使い続ける羽目になって、防空能力は大きく低下するというおまけ付きです。

しかも導入したE-2DからCECをわざわざ取り外してこれまた値段を上げて調達し、今後はそれをつけて既に発注した機体にもまたコストを掛けて装備するようです。これだけ見るとコントみたいですが、全部我々の税金が浪費されており、悲劇意外の何物でもない。

いやあ、航空自衛隊って本当に優秀なんですね。涙がでそうです。

■本日の市ヶ谷の噂■
海自が30FFMに導入する日本製鋼所製のRWSは、元来陸自の車両用に開発したものだが、海自は調達コスト削減のためにレーザー測距儀と自動追尾装置をオミットとの噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年11月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。