米中間選挙など:人口減の本質論が霞む外国人材受け入れ問題

2018年11月10日 06:00

石破  茂 です。

アメリカ中間選挙は事前の予想通り、上院では共和党勝利、下院では民主党が多数を奪還という結果となりました。今後次の大統領選挙までの2年間は、予算案や多くの法案の審議や成立が停滞することになるのでしょうし、再選を狙うトランプ大統領は「悪いのは民主党だ!」とばかりに強硬姿勢をさらに鮮明にして、大統領令を頻繁に発することになるのかもしれません。

今までの歴代大統領とは異なり、同盟国に対して強い姿勢で臨み、現状の如何ではなく今後の損得を重視し、アメリカ全体の帳尻を合わせることをそのスタイルとするトランプ氏は、今後「日本の自動車業界が現在どれだけアメリカ人の雇用を作り出しているかではなく、これからどれだけ増やすかが問題だ」「農産品や自動車で貿易赤字が改善しないならば、日本はもっと米国製の防衛装備を買うべきだ」「北朝鮮の核が維持されても、ICBMの脅威がなくなることでアメリカの安全性は向上する」などという主張をすることが予想されます。

問われているのは憲法、防衛や経済・エネルギー、財政、社会保障など、日本自身の自主独立性と持続可能性なのであり、トランプ政権への対応はそれらすべてを見直す、厳しくもよい機会としなくてはなりません。

外国人人材の受け入れについて、法案の成立に万全を期すということは当然のことながら、「移民」という言葉の持つネガティブなイメージを回避するあまり、我が国が直面する未曽有の急激な人口減にどう対応するのかという本質論が今一つ見えてこないような気がしてなりません。

この構図は「軍」「戦力」「交戦権」という言葉を回避するあまり、「自衛隊を明記するだけで、実態は一ミリも変わらない憲法改正」というものと近似しているように思えます。

日本の人口急減も、安全保障環境の激変も、国家的危機とも言うべき事態なのに、危機感や本質的な議論が決定的に足りないことに焦燥感を覚えるとともに、自身の発信力の不足、更なる努力の必要性を痛感するばかりです。

今週水月会の勉強会でこの問題のスペシャリストである毛受敏浩氏の講演を聞き、教えられることが多々ありました。「このまま日本の国力が衰退すればやがて日本に見切りをつけ、海外への移民を目指す日本人が続出する事態も予想される」との指摘は胸に刺さるものがあり、同氏の著書「限界国家 人口減少で日本が迫られる最終選択」(朝日新書)を週末に読んでみたいと思っております。

補正予算案の参議院における審議もさしたる混乱もなく淡々と進み、参議院本会議において成立を見ました。予算委員会において一部閣僚の言動や答弁能力を追及することに意味がないとは言いませんが、国民はそればかりを見させられてうんざりしているように思われます。予算委員会においてはもっと国家の重大事を質してほしいと願わずにはいられません。

雇用政策について小林美希氏の新著「ルポ 中年フリーター 『働けない働き盛り』の貧困」(NHK出版新書)は示唆に富むものでした。高齢者の貧困と並んで、この層をどうするかは今後大きな社会的課題となるに違いありません。現場の視点に立脚した同氏の著書や論説にはいつも教えられることばかりです。

11日日曜日は、四万十市・高知市における山本有二元農水相の国政報告会に参加の予定です。
皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。


編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2018年11月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。

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石破 茂
衆議院議員(鳥取1区、自由民主党)、

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